YUNICO
ユニコ
2026年4月に移転した大阪北新地のカウンター・イタリアン








寺院の生まれからイタリア料理の世界へとパラダイム・シフト
2020年にOPENした「Yunico ユニコ」は、イタリア語で「ユニーク」や「唯一無二」を意味する「ウニコ」に、山本淳オーナーシェフのイニシャル「Y」の想いを重ねて名付けられた。2026年4月に同じ北新地内で移転、現在はカウンター席を望むオープンキッチンで、山本シェフが日々独自のイタリア料理に磨きをかけている。
山本シェフは丹波篠山の山中にある、紅葉で名高い寺院に長男として生まれた。当初は寺を継ぐべく仏教系の大学に進学したが、在学中に飲食店でアルバイトをした際、和食出身の先輩が作る賄い料理の美味しさと手際良さに深く感銘を受け、一転して料理人を志す。京都の調理師専門学校を経て「嵐山吉兆」で研修したが、和服や帽子は自分に似合わない、周囲からも「洋食の顔立ちをしている」といわれたことから西洋料理へと向かう。格式ばったフレンチよりも自然体で取り組めるイタリアンに魅力を感じ、京都の「サンタ・マリア・ノヴェッラ」でイタリア料理人としてキャリアをスタートさせたのだ。「リストランテ ヒロ」大阪店と青山店で10年間キャリアを重ね、そのうち通算5年間は料理長として厨房を牽引し2020年に「ユニコ」をOPENしたのだ。
当時の山本シェフは「リストランテ ヒロ」当時からのスペシャリティである「冷製トマトのカプレーゼ」「真鯛のパイ包み焼き」そして後述する「552(ゴーゴーニー)」を常時メニューに取り入れていたが、定番が増えすぎると思考が停滞し、新しい料理への挑戦が制限されると感じ、移転を機にスペシャリティは「552」ひとつに絞り込んだ。現在のメニューから一部紹介するとこんな感じだ。「ナス オクラ」は野菜出汁でマリネしたナスとオクラに、ホワイトバルサミコと秋田の純米酒、青柚子の香りをあわせたジュレを添え、三杯酢を連想させた酸味が爽やか夏向きの冷菜。「メイチ鯛 水茄子」はオリーブオイルと出汁で真空調理した大阪特産の泉州水ナス、鯛とボッタルガ。メロンを思わせる香りと甘みの泉州水ナスには驚いた。
「甘鯛 シャンパンソース」は甘鯛の身にだけ衣=パステッラをまとわせ、ウロコは素揚げする超絶技法。ウロコとフリット、それぞれ異なるクリスピーな食感が心地よい。「垰下牛サーロイン」は広島県竹原市特産の「垰下牛(たおしたぎゅう)」を炭火で焼き上げ、2年熟成メークインのピューレ、タップナードソースとともに味わう。「黒トリュフとアンチョビバターのタヤリン」は、あえて太めに仕立てたタヤリンに黒トリュフとアンチョビバター。
そして白眉は「552」だ。その名からわかる人も多いかとかと思おうが、これは大阪名物の豚まんに発送を得たフィンガーフード。蒸しあげたバンズには自家製のモルタデッラ、粒マスタードをはんである。モルタデッラは豚ひき肉、背脂、玉ねぎ、ピスタチオを練って60度の低温で火入れ。決して大上段に構えず、大阪らしいユーモアをまじえたシグネチャーディッシュはボットゥーラの名作「エミリア・バーガー」を思わせる。大阪のストリートフードとイタリアの味を融合させた名作。
「ユニコ」のロゴマークは、中央に赤い線が一本走っているが、これは山本シェフの実家である寺院のモミジがモチーフとなっており、時代や流行に流されず、芯のある一本通った料理を作り続けたいという思いが込められている。イタリア料理のDNAを持ち合わせない日本人にとって伝統料理を作るだけではともすればイタリアの模倣になってしまうが、自らの出自や経験=アイデンティティを重ね合わせたイタリア料理こそが多くの人々の記憶に残る料理ではないだろうか。料理人となった今も故郷の山寺の紅葉を忘れない山本シェフの料理からは、イタリアの情景と共に確固たる信念が多々わってくるはずだ。
chef profile

山本 淳
JUN YAMAMOTO
1985年大阪生まれ。「リストランテ・ヒロ」青山本店などで長年にわたり料理長を務めた後、2020年、大阪・北新地に自身のイニシャルと「唯一無二=UNICO ウニコ」を冠した「YUNiCO」をオープン。「ミシュランガイド京都・大阪」で連続して一つ星に輝く。2026年4月に移転。
INFORMATION
大阪府大阪市北区曽根崎新地1-11-19 スタービル 6F [google MAP🔗]
Tel:06-6225-8007
営業時間:月〜金曜日ディナー17:30〜23:00(最終入店21:00)、土曜日ランチ12:00〜15:00(最終入店13:30)、ディナー18:00〜23:00(最終入店21:00)
定休日:日曜日、祝日
※完全予約制
➣ 公式WEB

