IW100 2023年度「ヤングシェフ賞」のお祝いの言葉を述べる前にまず、令和6年1月1日に起きた能登半島地震により亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。そして一日も早い被災地の復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。

「ヤングシェフ賞」とは40歳以下のシェフ1名に対して贈られるアワードだが「ヴィラ デラ パーチェ」平田明珠シェフは、すでに「ヤングシェフ」と呼ぶのがはばかられるほどのキャリアと実力の持ち主だ。平田シェフは能登という環境で料理を作りたいという一心で東京から移住。食材に恵まれた能登の魅力を最大限発揮すべく日夜努力を重ねてきた最中の今回の地震で、能登に対する思いが一層強くなった事は想像に難くない。地震直後から自分のレストランも被害を被ったというのに能登のシェフたちと共に炊き出しを行い、寒さと不安に震える人々の心と体を励まし続けた。

平田シェフと初めて出会ったのは2018年ミラノで行われたバリラ社主催「パスタ・ワールド・チャンピオンシップ」で、平田シェフは日本代表として出場。能登の干し海老やいしるを使ったパスタは審査委員長を務めた「D.O」ダヴィデ・オルダーニはじめ多くの人々の胸に残った。そうしたこれまでの一連の活躍に敬意を表するとともに、1日も早い「ヴィラ デラ パーチェ」の復活と能登の再興を願わずにはいられない。これまで幾多の困難に挑んできた平田シェフならば、より一層強く深く、未だ誰も成し遂げたことがない能登ならではのイタリア料理を創り出してくれるはずだから。

「ヴィラ デラ パーチェ」(石川県)平田明珠シェフ 1986年生まれ

1986年東京都生まれ。大学卒業後に料理の道に進む。都内のイタリア料理店勤務の後、食材探しに訪れた能登半島に惹かれ2016年に石川県七尾市に移住、レストラン「Villa della pace」をオープン。2020年、同市中島町の塩津海水浴場跡地へ移転、宿泊施設を併設したオーベルジュとしてリニューアル。