Trattoria i Bologna
トラットリア イ・ボローニャ

第二の故郷ピエモンテへの深い愛情と情熱


由緒あるピエモンテの名店から店名を受け継ぐ

和歌山市内にある「トラットリア イ・ボローニャ」は正真正銘、生粋のピエモンテ料理を出すレストランとして知られる。シェフの小林清一シェフは現地ピエモンテの同名店で15年修行、最後の10年間はシェフを務めたキャリアを持つ。小林シェフは2013年に帰国すると早速店名を受け継いだレストランをOPEN。本店はロッケッタ・ターナロという小村にある格式高いレストランだがこちらは都会的な雰囲気を漂わせている。しかしその根底に流れるのはピエモンテ伝統の郷土料理だ。

名醸ワインの故郷は料理が美味しい、というのはイタリアにおける金科玉条だがバローロ、バルバレスコを筆頭に長熟赤ワインで知られるピエモンテは赤ワインに合う料理が多い。「トラットリア イ・ボローニャ」でも手打ちパスタならばタヤリン、アニョロッティ・ダル・プリン、肉料理ならブラザート、野菜ならばバーニャカウダと王道ピエモンテ料理がずらりと並ぶ。合わせるワインはやはり同じロッケッタ・ターナロが誇るワイナリー「ブライダ」の「アイ・スーマ」か「ブリッコ・デッル・ウチェッローネ」か。

まず小林シェフからの挨拶がわりの料理は、ピエモンテ伝統の前菜を一口サイズに盛り込んだアンティパスト・ミストだ。ウサギのインサラータ、鱈の南蛮漬け=エスカベーチェ、マヨネーズベースのロシア風サラダ=インサラータ・ルッサ、牛タンのサルサヴェルデ、シチリア産メロンとラルド、野菜の酢漬けジャルディニエラ、鶏胸肉のバルサミコ、仔牛もも肉のツナ・ソース=ヴィテッロ・トンナート、パプリカの詰め物、数えてみたら全部で9種類、どれも味がしっかりと決まっていて満足度が非常に高い。

ピエモンテを代表する郷土料理であり、小林シェフの真骨頂は詰め物パスタ「アニョロッティ」だ。卵黄がしっかりと感じられる生地は極薄で繋ぎ目も滑らか。香り、味わい、舌触り全てが極上。牛筋やチーズの詰め物とのバランスもとても良く、ソースはシンプルにセージとバター。余分な装飾を削ぎ落とし、本質だけがしっかりと残された、日本一のアニョロッティではないかと思う。タンニンがしっかりだが、よくえた微発泡性の赤ワイン「ラ・モネッラ」がとてもよくあう。鹿肉の周囲にグリッシーニを使った衣をまとわせて揚げた「グリッシノーポリ」。ソースはピーマン、トマト、ヴィネガー、タマネギ、アンチョビ、ニンニクを使ったバニョットロッソ。付け合わせのカボチャはシナモンを効かせた伝統の組み合わせ。最後のパンナコッタに至るまで、まるでピエモンテの田舎のレストランで食事しているような気分にさせてくれる至福の時間だった。

伝統か革新か、それはある意味イタリア料理にとっては永遠の命題ではあるが、小林シェフの解答は極めて明快で「自分は伝統料理しかやりません」という。それは長年にわたって作り上げ、完成度を高めてきたピエモンテ料理への矜持であり、リスペクトである。料理の細部に至るまで第二の故郷ピエモンテへの深い愛情がほとばしる小林シェフの料理は一度体験したい。


chef profile

小林 清一
SEIICHI KOBAYASHI

1966年生まれ。大阪あべの辻調理師専門学校卒業。静岡市のイタリアンレストラン「ルチア」で9年間修行。イタリアトリノの1ツ星レストラン「バルボ」で2年間修行後アスティの「トラットリア イ・ボローニャ」で15年修行、うち10年をシェフとして務める。2013年帰国、和歌山市で「トラットリア イ・ボローニャ」をオープン。


INFORMATION

和歌山県和歌山市十番丁19番地 Wajima十番丁ビル5F[google MAP🔗]
Tel:073-422-8228
E-mail:ibologna@shimaseiki.co.jp
営業時間:ランチ 12:00~15:00(L.O.14:00)ディナー 18:00~22:00(L.O. 20:00)
定休日:火曜日、第一・第三月曜日
公式WEB