イタリアンウイーク100に参加していただいた地方で活躍するシェフは、いずれも地元の食材や文化を大切にし、いかにしてイタリア料理として昇華させるかに日々取り組んでいる。自ら野菜を育てるシェフ、山菜やキノコをとるシェフ、漁をして魚や鳥をとらえるシェフもいるが、北海道の先住民族であるアイヌの知恵を踏襲し、自ら森に入って花や葉、木の実、根など森の生態系そのものを料理に取り込んでいるのが札幌「タカオ」の高尾僚将シェフだ。
高尾シェフはアイヌの保存食トゥレプを自らの手で再現、応用した世界唯一のパスタ「トゥレプ」を生み出した。いま日本各地で地元の食材を活かしたローカルガストロノミーに取り組むシェフが多数活躍しているが、努力と研究を重ねてアイヌ文化を突き詰め、新しいイタリア料理「道産子ガストロノミー」を作り出したその功績は「ベストシェフ賞」にふさわしい。イタリアンウイーク100 2023年度「ベストシェフ賞」は北海道「タカオ」高尾僚将シェフだ。
北海道から世界へ発信する、道産子ガストロノミーの旗手
「TAKAO」(北海道)高尾僚将シェフ
1974年、北海道旭川生まれ。北海道、東京、フランスで修行後。2009年独立。独立後、店舗建て替えの1年半、上海、イタリアンオープンニングシェフ就任。帰国後、姉妹店、「HASSO azzurro」オープン。2016年「TAKAO」オープン。2017年、北海道イタリアン史上初のミシュラン1ツ星獲得。2021年、ゴ・エ・ミヨ「明日のグランシェフ賞」受賞。