「ゼナート ZENATO」はガルダ湖南岸、風光明媚なペスキエーラ・デル・ガルダの地で1960年に創業したワイナリーだ。創業者であるセルジオ・ゼナートは農家に生まれ、幼少期から家業を手伝いながらルガーナのテロワールを学ぶ。ヴェネトとロンバルディアの州境に位置するルガーナ地方はシルミオーネやデゼンツァーノ・デル・ガルダなどロンバルディア州ブレシア県に位置する4つの自治体と、ヴェネト州ヴェローナ県にあるペスキエーラ・デル・ガルダという、2州にまたがるワイン生産地だ。面積ではロンバルディア州が多いが、ワインの生産量はペスキエーラ・デル・ガルダが60%を占めている。若き日のセルジオはルガーナでブドウ生産が盛んになりはじめると自らもブドウ栽培を始める。

セルジオが当時から注目していたのは土着品種であるトレッビアーノ・ディ・ルガーナであり、このブドウから生まれる白ワインがいつか世界を席巻すると信じていたのだ。ルガーナDOCが誕生したのは1967年だが、その認知度向上にセルジオが貢献したことはいうまでもないだろう。白ワインでの成功を元に、1970年になるとセルジオはヴァルポリチェッラでアマローネ作りと伝統的な手法を取り入れたリパッソの復興に取り組み、白赤共に最高品質を誇るワイナリーとして確固たる地位を築いたのである。

2020年に創立60周年を迎えた「ゼナート」は、現在ルガーナ(ペスキエーラ・デル・ガルダ)とヴァルポリチェッラ・クラッシコ(コスタルンガ)に合計95haのブドウ畑を所有。セルジオの妻カルラと2人の子供、アルベルトとナディアがセルジオの情熱を受け継いでワイン作りに取り組んでいる。ガルダ湖南岸という温暖な気候の恵みをうけたルガーナには、アルプスの氷河によって作られた氷堆積由来の粘土質石灰の畑があり、海抜60mの畑では樹齢55年のトレッビアーノ・ディ・ルガーナがいまだに存在している。トレッビアーノ・ディ・ルガーナから作られる白ワインは現在4種類あり、瓶内二次発酵させた「ルガーナ・メトド・クラシコ」は金色を帯びた麦わら黄色が特徴的。桃や柑橘類、洋梨、リンゴなどのニュアンスがある。また、補糖をしていない「ルガーナ・メトド・クラシコ・パ・ドゼ」は64ケ月という長期の瓶内二次発酵で作られた数量限定ワインだ。創業者の名を冠した「ルガーナ・セルジオ・ゼナート・リゼルヴァ」はポデーレ・マッソーニという単一畑で作られ、柑橘に加えてトロピカルフルーツやスパイス、バニラといったリッチな芳香に富む。「ルガーナ・サン・ベネデット」はステンレスタンクで作られた綺麗な白ワインでドライアップや洋梨、パイナップルといった複雑なアロマが楽しめる。

一方ヴァルポリチェッラではこのエリアでも特に標高が高い海抜350mに畑があり、森に守られた粘土質石灰と鉄分を含む土壌からアマローネを生み出す品種であるコルヴィーナ、 ロンディネッラ、オゼレータ、クロアティーナが栽培されている。伝統製法であるリパッソから生まれたのは「リパッサ・ヴァルポリチェッラ・スーペリオーレ・リパッソ」。これはヴァルポリチェッラで作られたワインに陰干しにした甘口ワイン、レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラにアマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラのブドウの搾りかすを加えて再発酵させたワインで、しっかりとした深い味わいが特徴。フラッグシップワインは、こちらも創業者の名を冠した「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ・セルジオ・ゼナーロ・リゼルヴァ」で4ケ月の陰干(アパッシメント)のあとオーク大樽で4年以上の熟成後、さらに1年以上瓶内熟成させた長熟タイプのリゼルヴァ。ダークチェリーやスパイスに加え様々な森の香りが官能的で、しっかりとした骨格ある味わい。赤み肉のグリルやジビエ、長期熟成させたチーズなどにあわせたい。

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