Ristorante QUINTOCANTO
リストランテ クイントカント

威風堂々、大正建築とリストランテの邂逅


若き夏川シェフがその才能を自由に表現

大阪市内を流れる土佐堀川に浮かぶのが長さ3kmの中之島だ。島の上は国立国際美術館、大阪市立科学館、中之島公園などが並ぶ文化的なエリアとなっているがその一角に重厚なネオロマネスク様式の石造りのビルがある。1926年に建てられた歴史的建造物は2013年に生まれ変わったが、その一階に「リストランテ クイントカント」はある。夜ともなればライトアップされ、まるで外国のような重層な雰囲気を漂わせるたたずまいは大阪を代表する「リストランテ」という格にふさわしい。店名はイタリア語で「五番目の角」を意味するが、これは「サローネ」グループ五番目の出店ゆえに名付けられた。日比谷ミッドタウンの「サローネ トウキョウ」あるいは広尾「イル テアトリーノ ダ サローネ」同様、いやそれ以上にラグジュアリーな空間は他を圧倒する存在感がある。

「イタリアと時差のないイタリア料理」という共通コンセプトは変わらず、伝統=トラディツィオナーレと地域=レジョナーレ、そして創造=クレアティーヴァを上手に組み合わせた創造的な料理「クチーナ・クレアティーヴァ」を信条としているのだ。厨房を指揮するのは33歳の若きシェフ、夏川和也氏。それまでに培った技術を皿の上に自由に表現している。メニューは旬の食材をベースとした月替わりで、どんな料理に出会えるかはその日の楽しみ。ある夏の日の料理はこのような内容だった。

まずは一口サイズのミニ・ハンバーガー「和牛のパニーノ」。冷たいヴィシソワーズのような「クレマ・ディ・パターテ」。イタリア的な衣=パステッラで揚げた「穴子のフリット」はカラスミのトッピングで旨味をさらにプラス。「鴨とブラックオリーブ」は香ばしく皮目を焼いた鴨の胸肉に黒オリーブのソース。ウニを使った「タリオリーニ」と褐色の「ガルガネッリ」という2種類の手打ちパスタに続いてピリっと辛いンドイヤ・ペーストを使った「夏鱈のカラブリア風」、そしてメインの肉料理は「神戸牛と高原黒牛のアッロースト」。しかしこれで全て終了、ではなく「クイントカント」ではサローネグループの伝統である締めのスパゲッティ・ポモドーロが味わえる。一応メニューには30g、50g、70gと書かれているが希望すれば何グラムでもよいという。ここはオースドックスに30gいただく。クリーム状になるまで濃度を高めたトマトソースは酸味、甘味、旨味のバランスが絶妙で食後の長い余韻が後を引く。コース料理を食べ終えた後だというのに次回の訪問が楽しみでたまらくなり、ふとした瞬間に思い出しては無性に食べたくなる。そんな魅力あるパスタなのだ。


chef profile

夏川 和也
KAZUYA NATSUKAWA

1991年3月29日生まれ。大学卒業後、大阪市内のイタリアンで働き、2017年QUINTOCANTOに入社。2019年シェフに就任。



INFORMATION

大阪府大阪市北区中之島3-6-32 ダイビル本館1階[google MAP🔗]
Tel:06-6479-1811
E-mail:quintocanto2013@gmail.com
営業時間:ランチ 12:00~15:00 ディナー 18:00~22:30
定休日:無休(臨時休業あり)
公式WEB