PRIMO PASSO
プリモパッソ

2023年OPEN、東京築地エリアの注目店

 

11皿のコースのうち5皿がパスタ、イタリア料理の根幹へのリスペクト

パスタの聖地グラニャーノはじめ、ナポリ近郊にはイタリアを代表する素晴らしいパスタメーカーやレストランが数多く存在している。マッサ・ルブレンセにあるミシュラン3つ星「クアットロパッシ」もそんな一軒だが、その名店でパスタ場を任されていた若き料理人藤岡智之氏が2021年に帰国。昨年新富町にオープンした「プリモパッソ」のシェフに就任した。ちなみに店名の「プリモパッソ」とは最初の一歩という意味だが、これは藤岡シェフが研鑽をつなんだ「クアットパッシ」=4歩、あるいは散歩に深い敬意を込めて名付けられたものだ。

急な階段を降りていくと8人掛けの長いカウンターがあり、藤岡シェフはその中央で全ての調理を一人で行う。11品からなるメニューは、そのうち実に5品がパスタであり、藤岡シェフがイタリア料理の根幹であるパスタにかける意気込みがメニューを眺めただけでひしひしと伝わってくる。

藤岡シェフはまず生ハムスライサーのフェラーリとよばれるベルケル社製のスライサーを使って生ハムをごく薄切りにスライス。これをリコッタ、スカモルツァ、パルミジャーノという3種のチーズを詰めた揚げピッツァ、パンツェロッティの上にふんわりと盛り付けてくれるのだ。冷と温、塩と甘のしびれるコントラスト。するとまもなく最初のパスタが運ばれてくる。美しいカクテルグラスの中には北海道産毛蟹を使った冷製の極細パスタ「毛蟹とカッペッリーニ」。昆布と蛤の出汁に花穂紫蘇、佐賀海苔という和のエッセンスの組み合わせ。第二のパスタは子持ちのヤリイカにカラスミ、あおさ海苔、レモンを使った「タリオリーニ ヤリイカ 檸檬」さらに北海道のバフンウニをトマトソースにした「リングイネ 雲丹」という小気味いいテンポでパスタが続く。

リゾットは「ななつぼし 林檎 冬トリュフ」のリゾット、さらに口直しがわりの「生ハム メロン ミント」、「十勝ハーブ牛」のあと最後に登場したのが「カプチーノ」だ。これはコーヒーカップにミルクフォームたっぷり、見た目はまさにカプチーノなのだが、その下にはほたるいか、おおば、卵黄、柚子胡椒を使った手打ちパスタタヤリンが隠されている。

パスタはイタリア料理の花形であり、存在証明でもある。最近日本のイタリア料理店ではコース形式で最後に少量のパスタを出す店も多いが藤岡シェフはなんと手を変え品を変えて、5種類のパスタを出す。とはいえ一皿のポーションは全てほんの一口サイズなので5品食べても合計で120〜130グラム程度。満足感はあっても食後感は意外と軽く、もう一皿ぐらい食べたいという心地よい余韻が残るのも、藤岡シェフがコースの流れを熟慮しているからこそ。新進気鋭のカウンターイタリアンに登場だ。


chef profile

藤岡 智之
TOMOYUKI FUJIOKA

1992年生まれ。辻調理師専門学校を卒業後、「ASO」や「シチリア屋」での修業を経て、イタリア・ナポリへ渡る。当時まだミシュラン2つ星だった「クアットロパッシ」などで4年間研鑽を積み、2021年冬帰国。2023年「プリモパッソ」のシェフに就任。



INFORMATION

東京都中央区築地1-5-11 ACN築地ビル B1F[google MAP🔗]
Tel:03-6826-9672
営業時間:ディナー 17:00~23:30(17:00 / 20:30の2回転)
定休日:水曜日
公式WEB