OTTO SETTE TOMAMU
オット セッテ トマム

「星野リゾート トマム」のメインダイニングで識る北海道の雄大さ


天空のダイニングで体験する「カレンダリオ・ガストロノーミコ」

札幌から車で約2時間。北海道横断自動車道をトマムICで降りると、山間に溶け込むようにそびえ立つ高層ビル群が姿を現す。約1000ヘクタールの大自然に囲まれた滞在型リゾート「星野リゾート トマム」だ。このリゾートには、ファミリー層に人気の「トマム ザ・タワー」と、100平米以上のオールスイートを備えた高級志向の「リゾナーレトマム」という2つの宿泊施設があり、標高1088メートルの「雲海テラス」や、冬に登場する「アイスヴィレッジ」「霧氷テラス」など、四季折々の自然とふれあえるアクティビティが充実しているのも特徴。しかしなによりのお目当ては「リゾナーレトマム」サウス棟31階に位置する、「OTTO SETTE TOMAMU」のイタリア料理だ。

「OTTO SETTE TOMAMU」は標高約540メートルの高層階に位置しているので、窓から見るトマムの風景は圧巻のひとこと。ガラス越しに広がる山々や森、時に流れる雲海はまさに「天空のダイニング」であり夕暮れどきには淡いオレンジに染まる空とともに、一層幻想的な雰囲気を醸し出す。

料理のコンセプトは、北海道の四季の恵みを五感で味わう「カレンダリオ・ガストロノミコ=美食の暦」であり、季節ごとに構成が変わるコーススタイルだ。例えば前菜の「海の煌(きらめき) イクラと牡丹海老のコルノ」は、クリスピーな食感のコーン生地に、新鮮な海の幸を巻いた、見目麗しいひと口サイズのフィンガーフード。「夏風に乗せて 泡で包んだ蟹とフィノッキオ」は、昆布の旨味を閉じ込めた泡で毛蟹を包み込んだ、北海道の涼風を感じさせるような一皿。ヴァルテッリーナ地方の郷土料理である、蕎麦粉のパスタ「ピッツォッケリ」や、北海道産の仔羊を藁で包んでじっくり焼き上げる「大地の馨(かおり)」など、郷土性をベースに北海道らしい解釈を加味した料理が次々と登場する。北海道産ウニとナスを組み合わせた冷製カッペリーニ「涼風」や、白身魚・油坊主を使った香草のスープ「夕凪の木漏れ日」など、素材の個性を生かした冷温のコントラストにため息が漏れる。

デザートには「ファーム星野」の牛乳を使用した3種のミルクジェラートや、北海道メロンをふんだんに使ったメレンゲ仕立ての「爽夏 メロンのメリンガータ」など、コースの最後もまた楽しみのひとつ。また、ワイン・ペアリングには、北海道を代表するワイナリーから選ばれたナチュラルワインを中心に構成されており、こちらも北海道のテロワールが体感できる。

「OTTO SETTE TOMAMU」はリゾート地のレストランというイメージにとどまらない。北海道の風土=テロワールと旬の食材が重層的なハーモニーを生み出す北の大地の交響曲であり、「星野リゾート トマム」滞在時にはその雄大な風景と共に、ハイライトとなる美食の時間なのだ。


chef profile

鈴木 將平
SHOHEI SUZUKI

1993年生まれ、北海道旭川市出身。2014年旭川市内のホテルにて修業を始め、2021年から「OTTO SETTE TOMAMU」当時の料理長である武田学の元で学ぶ。2023年4月「OTTO SETTE TOMAMU」料理長に就任。レストランのテーマである美食のカレンダー「Calendario Gastronomico カレンダリオ・ガストロノーミコ」を表現するため、北海道内各所の食材の生産者を訪ねて食材の発掘に力を入れている。


INFORMATION

北海道勇払郡 占冠村中トマム[google MAP🔗]
Tel:0167(58)1111
営業時間:ディナー 17:30~20:30
公式WEB


▶︎2025 ITALIAN WEEK 100 パスタの存在証明メニュー Read more ≫
「鹿肉とマッシュルームのアニョロッティ」

「OTTO SETTE TOMAMU」は、イタリア料理をフルコースで提供するレストランです。メニューのコンセプトは、「Bella Combinazione(ベッラ コンビナッツィオーネ)」。力強く輝く北海道の旬の食材と、イタリア料理の伝統が織りなすハーモニーを、驚くような組み合わせで提案します。また、豊かな彩りや計算し尽くされた盛り付けも「美しい組み合わせ」として、ここにしかない特別な感動を届けます。
「パスタとは、シェフの哲学そのものである」。私たちは、この言葉を胸に、トマムの厳しい冬と、そこで育まれる生命の輝きを表現した一皿を開発しました。このアニョロッティは、北海道名物の「豪雪うどん」からインスピレーションを得ています。
豪雪うどんは、北海道倶知安町(くっちゃんちょう)の特産で、地域の代名詞である馬鈴薯でん粉を主成分とするご当地麺です。倶知安町が豪雪地帯であることに由来し、茹で上がりの高い透明度を雪に見立てています。小麦主体のうどんと異なり、プリプリとした強いコシと独特の食感が特徴。戦後の食糧難の時代に生まれた「でん粉うどん」をルーツに、地域の資源を活かした食文化へと昇華された、開拓の知恵が詰まっています。
この豪雪うどんの技法をラビオリに応用した料理が「鹿肉とマッシュルームのアニョロッティ」です。小麦粉で作られる一般的なパスタにはないつるんとなめらかな口当たりと、モチモチとした強い弾力を生み出します。白く透明感のある生地に包まれるのは、力強い味わいの鹿肉と、じっくりと炒め尽くしたマッシュルームです。極寒の冬で身の引き締まった鹿肉の旨味とマッシュルームの大地を感じるコクが凝縮されています。仕上げには、鹿のスジや骨からとった濃厚なブロードを注ぎ、具材の旨味と香りを最大限に引き出します。さらに、芳醇な香りのマッシュルームを削りかけることで、一口ごとに北海道の雄大な自然が蘇ります。