MAGICAMENTE
マジカメンテ

イタリアから受け継いだ伝統というバトンの継承


絶滅危機にある伝統的パスタを日本で再現

地方におけるイタリア料理がテロワールを重視したローカルガストロノミーが顕著なのに対し、東京のイタリア料理店はよりイタリアの地域特性や伝統を重視した本格志向になるのかもしれない。恵比寿にある「マジカメンテ」オーナーシェフ佐藤崇行氏はそうした伝統料理を尊重し継承するシェフの一人だ。イタリアには秘境といわれるような町や村に足を延ばさない限り食べる事の出来ない幻のパスタや、手がかかり過ぎるが故に絶滅に瀕しているパスタがある。佐藤シェフはそうしたイタリアの小さな町や村を訪ねるパスタの旅を続けること20年。現地の料理人や職人たちから学ぶたび「伝統を絶やさないように作り続けているから、日本で同じように伝統の伝承をしてほしい」といわれるという。

「マジカメンテ」ではそんなイタリア料理遺産と呼んでもいいようなイタリアの希少なパスタを味わうことができる。「コルソ・デッラミチツィア=友情のコース」と名付けられたコースメニューにはなんと3種類のパスタが組み込まれているほどだ。また2023年度「パスタ未来形」では全参加シェフの中で唯一3種類ものパスタ未来形を考案。パスタの第一人者としてその存在をさらに内外に広く知らしめたことはまだ記憶に新しい。

「 栗の粉とカカオを練り込んだクロゼッティ 愛媛 ミカンイノシシとキノコのラグー」は、佐藤シェフがその伝統の技法を日本で忠実に再現しているクロゼッティの未来形。クロゼッティは独特の型で押して作るのだが、その故郷ヴァレーゼリーグレでは、最後の型職人ピチェッティ氏が数年前亡くなり伝統が絶えそうになった。現在はピチェッティ氏の娘アレッサンドラが未来へと伝統を継承すべく日々奮闘。佐藤シェフもその伝統を日本で継承する料理人だ。また、日本各地で被害が増え害獣とされているイノシシをソースに使用。人と野生動物が共存していけるよう、生命に感謝の想いを持って作り上げた。

「大分県竹田市 八世屋の熟成サフランを練り込んだロリギッタス」これはサルデーニャの言葉で指輪を意味するロリガに由来する手打ちパスタで、サルデーニャ島の小さな村モルゴンジョーリで祖母から母へ、そしてその子供達へと受け継がれている。しかし近年少子化の影響でロリギッタスの作り手も数えられる程度となりつつあるが、佐藤シェフはこの伝統のパスタを日本で作り続けその伝統の灯りを絶やさないようにしている。

驚くべきは「イタリア未来派の画家ジャコモ・バッラの作品 『虹色の浸透』へのオマージュ」だ。これは20世紀初頭に活躍した未来派の画家ジャコモ・バッラが、伝統技術だけではなく新しい技術と手法に取り組んだシリーズ作品の一つ「虹色の浸透 Iridescent Compenetration」へのオマージュ。 平和の象徴である虹色をパスタ生地で表現し、未来を思い描き、自然の環境の中で大切に育てられた西崎ファームの鴨を使用。平和とは人も動物も等しく制限されることなく自由に考え、生きられる世界であってほしいという佐藤シェフの願いが込められている。コンセプトもそうだが、なによりもその美しさと完成度の高さに大袈裟ではなく一眼見て鳥肌が立った。まず七種類の食材を使って色をつけたパスタ生地を作り、重ねては伸ばして七色の生地にしたのちアニョロッティにしてある。細部に至るまで神経がゆき届いたパスタは職人技の極致で、美術工芸に匹敵する圧倒的な存在感がある。完成までに時間を要したことでエントリーが遅くなり、2023年度「パスタ未来形」では最多得票を集めるまでにはいかなかったがインパクトは最大最強だったことはいまあらためて書いておきたい。


chef profile

佐藤 崇行
TAKAYUKI SATO

1979年栃木生まれ。都内のイタリア料理店で修行する傍らイタリアへ何度も足を運び、各地に根付いた伝統を現地のマンマたちから学ぶ。代官山「ブラチェリア・ラ・ファーメ」で店長兼シェフを努め、2011年恵比寿「アンティカ オステリア マジカメンテ」の開業に伴いシェフに就く。2018年「マジカメンテ」を独立開業。サンマリノ共和国大使より日本でもっともおいしいイタリア料理レストランとして認定を受けている。


INFORMATION

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Tel:03-6450-2210
E-mail:contact@magicamente2011.com
営業時間:ディナー 18:00~22:00
定休日:月曜日、火曜日不定休
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