L’appartamento di NAOKI
ラパルタメント ディ ナオキ

人形町に移転し薪火を使った独創的なイタリアン


前菜からデザートまで、薪火の奥深さを識る

麻布十番でプライベートサロンのような空間と独創的な料理で人気だった横江直紀オーナーシェフの「ラパルタメント ディ ナオキ」は2021年に人形町に移転。「ナオキの部屋」は新たに薪窯を導入した薪焼イタリアンとして新しいスタートを切った。特注のレンガ薪焼き釜、壁一面にうずたかく積まれた薪、アフリカでは神が宿る木として名高いブビンガを使ったテーブルカウンター、理想的な肉の熟成を生み出す熟成庫など、自ら料理人人生の集大成という空間は実に見応えがある。なにより店内に入ると薪の香りが漂い、高揚感に来た料理への期待が高まるのだ。

「ラパルタメント ディ ナオキ」でのディナーは前半後半の二部構成になっている。前半戦は横江シェフのおまかせでアミューズから前菜肉までさまざまな料理が味わえる。一方後半戦は5種類のパスタの中から2種類を選ぶのだが、余力があるならば5種類全部頼んでもいいのだ。前半戦はまずアルケグラスに注がれたオレンジワインのような野菜スープからはじまるが、これは無農薬野菜の皮を薪火で乾燥させ、抽出した極上のスープ。玉ねぎ、にんじん、さまざまな野菜、そして薪の香り。これが「ラパルタメント ディ ナオキ」の前奏曲である。「キャビアと落花生」は薪火でさっとあぶったキャビアには薪の香りが移り、中はねっとりと半熟。これは今まで味わったことのない、未知の食感のキャビアで、大粒の落花生によくあう。

もう一品「いくらと黒米」もやはりいくらは薪で軽く炙ってあり、これまた半生タイプで、黒米とピクルスと一緒に食べる。いわばいくら丼の進化系か。「牛テールのラヴィオリ」これは牛テールを詰めたラヴィオリを、同じく牛テールのスープで味わうのだが、極上の豚骨スープを思い出させる味と香り。そしてラヴィオリの生地は極薄で滑らか。硬軟強弱、縦横無尽の横江シェフの料理にすでにこの時点で圧倒される。

そして後半戦はまず柑橘で香り付けしたポルチーニのリゾットから始まり、その間に横江シェフが手書きメニューを貼り付けたその日のパスタ5種類を説明してくれるので全部いただくことにする。「自家製タヤリン 白トリュフ」「自家製タリオリーニ しらす 青唐辛子」「自家製ピーチ トマトソース」「全粒粉を練り込んだパッパルデッレ 佐助豚すね肉ラグーソース」「湘南ポモロンを練り込んだビーゴリ」圧巻、のひとことである。

「ラパルタメント ディ ナオキ」のカウンターに座り、薪の炎を眺めながら横江シェフが次から次へと繰り出す料理をいただくのは稀有な時間である。薪火で乾燥させた野菜のスープから薪の香りをまとわせたキャビアといった異なるアプローチで薪火を使った料理から、自ら熟成させた牛フィレの薪火焼きへと至る流れは、原始の調理法である薪火=直火の奥深さと味わい深さを再認識させてくれる。そして最後の薪焼きバナナや薪釜で濃縮したミルクアイスなどデザートにいたるまで薪火を使用。横江シェフの探究心がたどり着いた理想のイタリア料理=薪火料理の真髄を識るには「ナオキの部屋」の扉を押してみることをおすすめする。


chef profile

横江 直紀
NAOKI YOKOE

1972年愛知県生まれ。ふらっと立ち寄った本屋で何気なく手に取った料理本に感銘を受け料理人を目指す。地元でフランス料理を学んだ後イタリアに渡りイタリアンレストランにて修行。帰国後に数々の有名レストランにてシェフを務める。2010年に麻布十番にて「L’appartamento di NAOKI ラパルタメント ディ ナオキ」をオープン。2021年に人形町に移転して薪窯を導入し、薪焼きイタリアンを提供中。


INFORMATION

東京都中央区日本橋[google MAP🔗]
※住所詳細は、OMAKASEからの予約完了メールにてご案内いたします。
営業時間:ディナー 19:00~
定休日:月曜日・火曜日
※住所、電話番号 非公開
公式WEB