La Stalla
ラ スタッラ

ピエモンテで牛を飼育するレストランで学んだ経験を活かす


上質な素材を活かし、当日に決めるその日だけの料理

茨城県つくば市は遠いようで意外と近い。都内からつくばエクスプレスを使えばわずか46分でつくば駅まで着いてしまうのだから。上質なイタリア料理を求めてしばしワンデイトリップ、「ラ スタッラ」はそんな特別な1日にふさわしいレストランだ。佐藤誠之オーナーシェフは、料理とは全く無縁の仕事をしていたが、人生の転機にイタリアに渡る。ピエモンテ州にある、牛を自家飼育するレストランで修業したのち2012年に帰国し、最初は筑波山麓の乗馬倶楽部内にレストラン「ラ スタッラ」を立ち上げる。ちなみにスタッラとはイタリア語で馬小屋、牛小屋という意味だ。ピエモンテ時代は朝起きるとまず牛の世話から始まり昼のレストラン営業が終わると再び牛の世話、という日々で1日の3分の1は牛小屋で過ごしたという。そんなことから「スタッラ」という店名に辿り着いたのはごくごく自然な流れだったと佐藤シェフはいう。その後2016年には現在の場所に移転、2階にあるカウンターの中では、佐藤シェフが日々料理に精を出す。

佐藤シェフはその経歴ゆえか、料理人というよりも教師のような士業のような、そんなたたずまいの料理人だ。とはいえ小学校1年生の時から自ら父親のために料理を作っていたというから料理人になることはやはり天職だったのかもしれない。「ラ スタッラ」の料理はその日の食材で決まる全くのおまかせ。この日はまず新聞紙に包んで一年熟成させ、糖度をさらに増したきたあかりと鹿島沖で採れた真ダコのサラダ仕立て。いわばイモタコサラダなのだが、きたあかりとタコを蒸し器で同時に蒸してあるので柔らかく、とても甘いきたあかりの芯まで染タコの味がしみ込んでいる。続いて季節の山菜のフリットが出てきたが、この材料は土浦にいる山菜専門家がとってきたもの。時に山形県の月山まで山菜を取りに行くというからすごい。やまうどとこごみは軽くフリットに。ゆずもファームのアーティチョークは蒸し煮にして自家製のリコッタが添えてある。

2023年度「パスタ未来形」にも登場した「発酵トマトスーゴのタヤリン」のパスタ、タヤリンは手打ち、手伸ばし、手切り。トマトソースは茨城県筑西市のスーパーフルーツトマトを唐辛子と共に2日に水に漬け、発酵してきたところに自家製の鯛の魚醤を加えさらに1週間発酵させたもの。トッピングはチーズではなく、北海道のホースラディッシュ、エゾヤマワサビだ。トマトのコクと魚醤からくる独特の旨味にホースラディッシュがとてもよくあう。稚内生まれの佐藤シェフは幼少時から北海道の食材を食べて育ち、食事に刺身が出るたびに裏山にエゾヤマワサビを掘りに行っていたという。もうひとつの手打ちパスタはウンブリケッリでこれも北海道のサクラマスと行者ニンニク、北海道でいうアイヌネギをソースにしたいわばアイヌ風パスタだ。

最後に登場したのがこれも「ラ スタッラ」名物で、日本に100頭しかいない幻の豚、梅山豚の骨つき肉をローストにした「アリスタ」。「みなさん何皿も召し上がっているのに、最後にこの肉の塊をお出しすると絶望的なお顔になります。この量がイタリアですから」と佐藤シェフは笑う。味付けは魚醤だけというアリスタは火入も完璧で脂と肉汁、魚醤が渾然一体となったソースは絶望的な旨さ。穏やかな人柄であるのにことイタリア料理に関しては頑固であるところが料理人としての矜持なのである。「ラ スタッラ」のおまかせコースはその日届いた食材によるので、なにが出るかは当日のお楽しみ。もし梅山豚のアリスタに出会えたならば、イタリアを上回る超絶豚料理が骨の髄まで堪能できるはずだ。


chef profile

佐藤 誠之
SHIGEYUKI SATO

大手メガバンクグループの法律職を辞し、単身渡伊。ピエモンテ州で料理を学び、肉牛の世話をしながらイタリア文化に感化される。 2012年帰国、筑波山麓の乗馬倶楽部内で「ラ スタッラ」を立ち上げる。 2016年同市内松代に移転。現在に至る。


INFORMATION

茨城県つくば市松代2-10-9[google MAP🔗]
Tel:090-8101-7656
E-mail:shige@la-stalla.net
営業時間:ランチ 12:00~15:00(日曜日のみ)ディナー 19:00~22:00(水曜日〜日曜日)
定休日:月曜日、火曜日
※前日迄のご予約制です
公式WEB