incanto
インカント

ワインと郷土料理で過ごす、上質な広尾の夜


イタリア全土20州の料理には土着品種ワインを


オーナーソムリエ竹石航氏と、イタリアで知り合った小池教之シェフ(現オステリア デッロ スクード オーナーシェフ)がタッグを組み、天元寺交差点近くに「インカント」がオープンしたのは2007年のことだった。当時の小池シェフは自らをイタリア料理原理主義者と名乗るほど誰も知らないようなマニアックな郷土料理を作り、標本箱のような手打ちパスタ見本を始めたのも「インカント」が最初だったと記憶している。そうしたマニアックかつ美味なる料理に加え、広尾らしいシックな空間と竹石氏のワインセレクト&サーブは大人のイタリアンとして一世を風靡したのだ。

現在は「インカント」第二章に突入、芦野友香氏がシェフに就任し、イタリア全土20州の郷土料理を提案している。イタリアという国は地域ごとに歴史や文化が異なるため郷土料理も千変万化。オリーブオイルやワインの葡萄品種、チーズやハムなどの食材においてはヨーロッパで最も多様性に富んでいる。

芦野シェフは2023年度「パスタ未来形」で「ニョッキのラヴィオリ 野菜のスーゴとキノコのソース」を披露してくれたが、料理からは郷土料理への深い理解とリスペクトが伝わってきた。イタリア料理は一般的に「マンマ(母親)の味」といわれるが、それは真実である一方現実的にはそうではない場合も多い。家庭料理はあくまでも母親が中心になるのかもしれないが、プロの料理人はイタリアでも男性の方が圧倒的に多いからだ。それでもイタリアは女性料理人が多いことでは世界有数なのだが、日本のイタリア料理界(またはそれ以外も)を俯瞰してみると圧倒的に女性シェフが少ないその事実にあらためて驚かされる。それは実際にイタリアからも指摘されていることだ。そういう意味でも名門「インカント」の厨房に立つ芦野シェフは、日本のイタリア料理界を代表する女性シェフとして、これからもさらなる活躍を期待したい。


chef profile

芦野 友香
YUUKA ASHINO

1975年青森県生まれ。地元でOLを経験したのちファッション業界を目指して専門学校に進学。在学中イタリア料理に触れ料理の道を目指す。「キハチ」「サドレル」「カノビアーノ」「アロマフレスカ」などで研鑽を積み、紀尾井町「インカンティーナ」シェフに就任。 2022年より「インカント」シェフ。


INFORMATION

東京都港区南麻布4-12-2 ピュアーレ広尾2F[google MAP🔗]
Tel:03-3473-0567
E-mail:info@incanto.jp
営業時間:ディナー 17:30~(L.O. 21:30)ワインバー 17:30~25:00(月~金曜日)17:30~23:00(土曜日、祝日)
定休日:日曜日、月曜不定休
※5名様以上はお任せコースのみにて対応
※ドレスコード:スマートカジュアル推奨
公式WEB