今年初年度となったITALIAN WEEK 100では北海道から沖縄まで各都道府県を代表する100のTOPイタリア料理店にご参加いただいたが、全てのシェフ、レストランに共通するのは真摯にイタリア料理に向き合い、高いレベルでそれを表現し続けているということだった。
それはトラディショナルやイノベーティブ、クラシックといったスタイルの垣根を超えた「イタリア料理とはなにか?」という命題への挑戦でもあるのだが「イル・ギオットーネ」(京都)笹島保弘シェフが開業当初より基本理念としているのは「もしイタリアに京都という州があったら?」というコンセプトであり、それは20年経った今も変わらない。
今回参加店を訪ねて日本全国くまなく旅したが、多くのシェフが料理コンセプトに「もし自分が住む街、市、県がイタリアにあったら?」という言葉をあげてくれたのに驚かされた。それは20年前に笹島シェフが始めたコンセプトであり、その思考こそが日本におけるイタリア料理のレベルを高める一助となったことは紛れもない事実である。2007年1月ミラノの料理コンベンション「イデンティタ・ゴローゼ」で笹島シェフが披露してくれたデモンストレーションは昨日のことのようによく覚えている。参加していたのはフェラン・アドリア、マッシモ・ボットゥーラ、カルロ・クラッコといった錚々たるシェフばかり。その中で唯一日本人シェフとして参加した笹島シェフのコンセプトや料理が、その後多くの外国のシェフにも影響を与え、日本のイタリア料理の国際化に大いに役立ったことも特筆すべき功績である。
また今年参加していただいた100店の中でも笹島シェフのもとで学び、日本各地で活躍するシェフが多いという事実に、笹島シェフの存在感と影響力の大きさをあらためて何度も実感させられた。何よりもその料理は常に新しく、イタリアのスピリットにあふれている。笹島保弘シェフにはITALIAN WEEK 100より深い敬意を込めて「グランシェフ賞」をお贈りしたい。
「イル・ギオットーネ」(京都府)笹島保弘シェフ
高校卒業後、レストランの世界へ。関西のイタリア料理店数軒で修行後イタリアへ。帰国後、京都「ラヴィータ 宝ヶ池」、「イル パッパラルド」シェフ。38歳で「もし、イタリアに京都があったら」をコンセプトに「イル・ギオットーネ」をオープン。現在、大阪「イル・ギオットーネ・ディ・ピゥ」、「ピアノピアーノ アル ギオットーネ 」京都「オッフィチーナ・イル・ギオットーネ」を経営する。