Figo
フィーゴ
最先端技術を駆使した大阪イノベーティブ
ベテランシェフが集大成と語る注目店
2021年にOPENした注目店が大阪の「フィーゴ」だ。オーナーシェフの米田裕道氏は18歳で料理を志し、1986年21歳の若さでイタリアに渡る。当時はミラノのグアルティエロ・マルケージが史上初めてイタリアで(またフランス人以外としても)史上初めてミシュラン3ツ星の栄誉に輝いた直後で、新イタリア料理=ヌオーヴァ・クチーナ・イタリアーナ全盛期。その後時代を経て現代イタリア料理はさまざまな変遷を遂げていくが、米田シェフがイタリアで修行した時代は大いに影響、感銘を受けたことは間違い無いだろう。「フィーゴ」は大阪人でも聴きなれないという石橋阪大前駅から商店街を抜けた小さなビルの4階にあるのだが、エレベーターを降りた途端雰囲気は一転する。照明を落とし黒く塗られたエントランスには木製の引き戸と、その脇に「フィーゴ」と店名のみが小さく描かれている。店内は8席のみのカウンター席で、正面の近江水屋箪笥には日本刀の如く米田シェフが使用する包丁が飾られている。
コースはおまかせのみでメニューは非公開。当日行くまでのお楽しみで、まず最初に米田シェフ自らがその日の食材を説明してくれる。鱧、白エビ、ハマグリ、キャビア、稚鮎に和牛。これまでの料理人人生の全てを投入したトラディショナルかつイノベーティブな料理は驚きの連続だ。トマトウォーターとマジョラムのシートでドライトマトとアンチョビでマリネした白エビを包み、キャビアを重ねた料理はまごうことなきイタリアの味。バルサミコで煮た仔牛のリードヴォー、生ハム、ピーナッツもやしを瞬間スモークで香りつけし一品はプレゼンテーションもドラマチック。白ワインで柔らかく蒸し煮にしたハマグリはハーブとパン粉をまぶして表面を炙ってあり、カレー味の鱧はビーツのエスプーマと共に登場。目の前で仕上げる和牛のしゃぶしゃぶはナスとパルミジャーノ、パセリとレモンのクラシックなグレモナーダソースが実に爽やか。最後に出るのが締めのパスタで、この日は海苔を練り込んだ手打ちのタリオリーニ。柔らかく煮たタコとミニトマト、根生姜はあえて食感を楽しめるよう大きめにカットしてありニンニクとトマトの酸味が効いた甘酸っぱいアグロドルチェな味わい。強弱硬軟自由自在の料理の根底に流れるのはやはりイタリア料理の精神なのだ。
「フィーゴ」とはイタリア語のスラングで「かっこいい」という意味。英語ならクール辺りに相当するが、カウンターに立つ米田シェフの姿は実に「フィーゴ」なのである。イタリア料理に携わって35年以上。その経験が生み出す余裕と懐の深さは成熟した大人のイタリア料理。「クチーナ・ヨネダ」という言葉こそがふさわしい。また、日本酒も登場するペアリングも秀逸で、酒と料理と会話を楽しむ大阪の夜は「フィーゴ」抜きでは考えられない。
chef profile
米田 裕道
HIROMICHI YONEDA
1965年北海道生まれ。18歳で料理の道をこころざし1986年渡伊。「ボンネノベッレ」「パセット」にてシェフを務める。イタリアでの8年にわたる修業や有名店のシェフを歴任。1997年「ソーニ・ディ・ソーニ」OPEN。2021年「フィーゴ」OPEN。学校講師、若手料理人の育成など35年以上の経験がある。
INFORMATION
大阪府池田市石橋1丁目8-12 アゼリアタワー4F[google MAP🔗]
Tel:072-761-0884
営業時間:ディナー 18:00~ ※最高のタイミングでご提供すべく一斉スタートとなっております
定休日:水曜日
➣ 公式WEB