EFFE
エッフェ

医食同源をテーマに沖縄の食材をイタリア料理に昇華させる


西宮から沖縄へ移住し、沖縄文化に根ざした料理を目指す

長寿の島沖縄には独特の島時間とも呼べる穏やかな暮らしのリズムがあるが、その点でもイタリアによく似ているのかも知れない。西宮「アランフェス」で活躍した山﨑裕由シェフは、2017年に学生時代から魅了されていた沖縄に移住。老舗リゾートホテルやオステリアの厨房で沖縄食材と対峙しながら沖縄文化の理解と吸収につとめ、2023年9月には那覇市内から北に25kmほどの場所にある沖縄市に「EFFE エッフェ」をオープンした。

山﨑シェフは沖縄に自生するローズマリーやセージ、タイムといった地中海的なハーブだけではなくカレーリーフやレモングラス、シナモンリーフ、パンダンリーフといったオリエンタルなニュアンスを持つハーブを料理に取り入れているのも学生時代にインドや南アジアを放浪し、薬膳やアーユルヴェーダ、スパイスの奥深さに目覚めたという山崎シェフならでは。現在のメニューは2種類のコース料理のみで、島ヤギや純血種に近いアグー豚、黒毛和牛、沖縄地鶏といった沖縄ならではの食材を多用する。

ある日の「Menù Degustazione」は全部で9品の構成。「本マグロとレンブーのタルタル、青パパイヤ、シークワーサーの泡」。レンブーとは東南アジアの果物でカブのような食感で、近海で獲れたマグロとあえてタルタルにしてあり、シークワーサーの泡。青いパパイヤは泡盛のもろみ粕でつけてピクルスにしてある。こうして食材だけ見ても一気に亜熱帯まで来たような気になる。「車海老とプロシュット、水牛のモッツァレッラ、バナナ花のフリット」は沖縄とイタリアの融合をテーマにした料理。久米島産の車海老にはプロシュットとレモンバーベナを巻いてソテーにしてあり、モッツァレッラと自家製塩トマト。バナナのおしべを使ったフリットは繊細で舞茸を思わせる食感。ソースはパッションフルーツ。

驚いたのは「島ヤギのミネストラ、春ウコン、沖縄のハーブたち」だ。沖縄で「ひーじゃー」と呼ばれるヤギ料理は好みが分かれるところだが、このヤギは子羊を思わせる上品さ。トリッパやセンマイ、心臓、肺などの内臓も少しづつ残すことなく味わう。ヤギ汁の概念を覆す素晴らしい料理だった。「アカマチのサルタート、津堅人参のサルサ、ボラのボッタルガ」アカマチとは沖縄の高級魚で和名はハマダイだが味はキンメダイ、これをソテーして津堅島の人参で作ったシートで巻いてサルデーニャ産のボッタルガのトッピング。「あやはし牛のラヴィオリ、赤パプリカのソース、熟成パルミジャーノ」は山﨑シェフは好んで使う沖縄産黒毛和牛の経産牛とモリンガを詰めたラヴィオリ。フェンネルのような香りのタイバジルと共に食べるとどこか東南アジアを思わせる。最後の「トルタカプレーゼ、ゴールドバレル、カルダモン風味のジェラート」に至るまでありとあらゆる沖縄野菜やスパイス、ハーブを堪能し、心なしか体が洗われたような気になった。

ちなみに店名の「エッフェ EFFEとは「E=Enogastronomia(食とワインの文化)」「F=Fruttuosità(実り)」「F=Felicità(幸福)」「E=Esperienza(体験)」を表現したもの。ソムリエでもある山崎シェフがワインを厳選し、国際薬膳食育師と沖縄食材スペシャリストの資格も持つことから沖縄の食材を使った医食同源、沖縄でいうところのぬちぐすいをイタリア料理というフィルターを通して日々実践しているのだ。


chef profile

山﨑 裕由
HIROYUKI YAMAZAKI

兵庫県神戸市生まれ。学生時代からアジア方面を渡り歩き、現地のスパイスやハーブを駆使した料理に興味を持つ。大学卒業後、オーストラリアのイタリア料理店などで働きながら滞在し、インドや南アジア諸国を放浪。帰国後は大阪「オステリア・ガウデンテ」にてイタリア人シェフのもとで修業を積み2002年渡伊。「マドンニーナ・デル・ペスカトーレ」「イル・カシナーレ・ヌオヴォ」など郷土料理のトラットリアからミシュラン星付きリストランテまで7年間研鑽を積む。奈良県「イ・ルンガ」を経て2012年兵庫県西宮市で「アランフェス」開業。2017年に沖縄に移住し、老舗リゾートホテルやオステリアを経て2023年9月「エッフェ」を開業。


INFORMATION

沖縄県沖縄市山内4丁目11−22 1F[google MAP🔗]
Tel:098-989-6858
E-mail:effe.yamazaki@gmail.com
営業時間:
ランチ 金曜日、土曜日 12:00~
ディナー 月曜日~土曜日 17:00~(L.O. 20:30)
定休日:日曜日
公式WEB