da zero 〜自然イタリア料理〜
ダゼロ シゼンイタリアリョウリ

高知の山間に佇むゼロから始めたレストラン


日本とイタリア、有名シェフに師事して磨いた料理力

高知県佐川町は高知市内から車で1時間弱。清流で知られる仁淀川にほど近い、自然豊かな町である。植物学者、牧野富太郎博士の生まれ故郷として知られており、町内には博士の名を冠した牧野公園もあるほどだ。カーナビ通りに国道494号線を進むのだが近くなっても看板は一向に出てこない。国道を離れ、水田沿いに伸びる農道をしばらく走ると、ようやく手書きの小さな看板が見つかり、ほっと胸を撫で下ろす。佐川町の田園風景が広がる一角にたたずむ青い建物、それが「ダ ゼロ〜自然イタリア料理〜」だ。

オーナーシェフの的場篤志氏は関西イタリア料理界の巨匠八島淳次氏に師事した後渡伊。ピエモンテ州オルタ湖にある名店「ヴィッラ・クレスピ」オーナーシェフ、アントニオ・カンナヴァッチュオロ氏の下でそれまで培ったイタリア料理にさらに磨きをかける。日本に戻った後も料理の現場に常に携わってきたが2019年に独立。店名を「ゼロから」という意味の「ダ ゼロ」と名付けた。開業の場所として選んだのは、翔子夫人の祖母が暮らす佐川町。祖母の家を改装した「ダ ゼロ」はテーブルとカウンターあわせて14席。自然に恵まれた環境で的場シェフが目指すのは地元の生産者の対話や関係性から生まれる自然イタリア料理だ。

ある日のおまかせコース「メニュー・スペチャーレ Menu Speciale」6皿の内容に目を走らせ、メニューを裏返すと「生産者 Produttore」という一覧がある。「中里自然農園」「あまがえる農園」など高知県内17の生産者名が記されており、地元高地に根ざしたイタリア料理店であることがよくわかる。「トマトと夏野菜の冷製スープ ガスパチョ アオリイカとトウモロコシ」はよく冷えたスープでフレッシュな酸味が涼を呼び込む。「ヒラメのカルパッチョ コリンキーと小夏、フルーツトマトのサラダ」は船上で神経締めした平目に佐川のフルーツトマト、コリンキー、トマトウォーターとレモンバーベラのジュレで甘味と酸味、華やかな香りを添えてある。「はちきん地鶏胸肉のムース 人参のクレマ」ははちきん地鶏とポルチーニのムースにはクミンが効かせてあり、中里の人参の甘みとのコントラストが心地よい。「イカ墨を練り込んだタリオリーニ 海老とアオリイカ、ズッキーニのソース」「土佐あかうしもも肉のローストとトリッパの煮込み、マルサラワインのソース 牛蒡のクレマ」「すもものティラミス バジルのジェラート」と続くコースをいただいていると、その洗練された料理と空間はまるで南青山あたりのレストランにいるような気持ちになった。

的場シェフは四万十米豚や土佐はちきん地鶏、土佐あかうし、須崎漁港九石大敷組合の船上神経〆の魚介類、佐川町のフルーツトマト、高知県内の有機栽培農家の野菜など、高知が誇る食材をイタリアで磨いた技術で上質な料理へと昇華させる。田園風景と共に暮らし、自然と対話しつつ「ゼロから」料理を作るそのライフスタイルは料理人とはこうあるべき、という理想像でもある。


chef profile

的場 篤志
ATSUSHI MATOBA

大阪あべの辻調理師学校卒業。神戸元町「エノテカイゾラベッラ」(現「ジュンジーノ」)にて八島淳次氏に8年間師事。その後イタリアに渡りピエモンテ州「リストランテ・ピノッキオ」や「ヴィッラ・クレスピ」で経験を積む。帰国後、株式会社アクアプランネット入社。7年間勤務し新店舗立ち上げや料理長、管理職業務を経験。2019年6月15日「ダ ゼロ〜自然イタリア料理〜」OPEN。


INFORMATION

高知県高岡郡佐川町丙3051[google MAP🔗]
Tel:088-920-9603
E-mail:da.zero.cucina.naturare@gmail.com
営業時間:ランチ 11:00~15:00 ディナー 17:00~21:00
定休日:火曜日、水曜日、不定休
公式WEB