ITALIAN WEEK 100が発足当初以来重要にしているのが「地方におけるイタリア料理の再評価」だ。現在の日本におけるイタリア料理は、特に地方において百花繚乱、素晴らしい名店が多いが、これは本来地方料理の集合体であるイタリア料理に対する日本ならではの特色であり大きなアドバンテージである。なぜならば、旬の食材に恵まれた国というのは世界全体を俯瞰してみても日本、イタリアなど実に稀であり、地方の豊かな食材を生かしたイタリア料理とは本国イタリア以外では日本でしかなしえないからだ。そうした観点に立つと「ベストローカル賞」とはItalian Week 100の存在意義につながる、日本におけるイタリア料理の縮図的かつ重要なアワードである。

「セルバチコ茶雲霞」(岐阜)木戸口貴吉シェフは、昨年からその活動は際立つものがあり、地元岐阜の食材や酒、麹、酒粕、米、うるかなどを縦横無尽に使いこなし、他の誰も真似のできない岐阜ならではのイタリア料理を創り出してきた。2023年度の統一テーマ「パスタ未来形」で発表した「ミノッキ」や今年の統一テーマ「発酵の可能性」で発表した一連の発酵料理は、木戸口シェフの真骨頂であり、その活躍ぶりに敬意を込めて2024年度の「ベストローカル賞」をお贈りしたい。木戸口の授賞インタビューを含むオンラインでのアワード発表は2025年2月10日予定、こちらも注目していただきたい。