SALONE2007
サローネ2007

横浜から発信する正真正銘のクチーナ・クレアティーヴァ


イタリアの伝統を尊重しつつ、シェフたちが独自性をプラス

サローネグループのフラッグシップと呼べるレストランが横浜にある「サローネ2007」だ。店名の通りOPENは2007年。当初は中華街の路地裏にあったが2014年に「バーニーズニューヨーク横浜店」地下に移転。以来優雅な空間と、地域性や郷土料理的概念を十分に尊重した上で現代的に表現する創造的料理=クチーナ・クレアティーヴァが高く評価されている。

定番のA5サーロイン・ポテト・トリュフの一口サイズのアミューズ「inizio 序章」から始まるコース料理はいずれの料理名も詩的かつ創造的で、スタッフが手書きしたイラスト入りメニューを眺めているだけでも心が躍る。最後に登場するトマトソース、スパゲッティ・アル・ポモドーロはグラム数を指定して注文するのだが、トマトのコクと旨味で満足感と余韻を残したままコースを締めくくってくれる。

樋口敬洋シェフ、永島義国シェフなど、現サローネグループの重鎮たちを輩出してきた同店で現在シェフを務めるのは弓削啓太シェフ。「シェ・イノ」やパリの3ツ星「ギ・サヴォア」で培ったフランス料理の経験をハイエンドなイタリア料理へと昇華させるのに成功している。2019年パリで開催された「パスタ・ワールド・チャンピオンシップ」では見事世界チャンピオンとなったが、その場に立ち会ったものとしてはとても感慨深い。

弓削シェフが2023年度「パスタ未来形」で披露してくれたのは「ラザーニャ〜アウグリオ・ディ・トゥッティ」。 Augurio di tutti=みんなの願い、というイタリア語には未来に残したいラザニアという意味が込められている。使用する食材は可能な限り有機栽培の野菜や小麦、ホルモン剤などは不使用の国産牛、豚、成分無調整の乳製品など子供たちが安心して食べられる食材だけを使用。またラザニアは焼きたてではなく、あえて一度冷凍。 出来立てが最高なのはもちろんだが、冷凍してもその味が損なわれないラザニアの良さをいかしてある。パスタ世界チャンピオンとなった後、父親となった弓削シェフが子供に作りたい、食べさせたいラザニアなのだ。


chef profile

山本 鉄巳
TETSUMI YAMAMOTO

1992年生まれ神奈川県出身。 高校生で始めたアルバイトをきっかけにイタリア料理を志す。 高校卒業後、神奈川県内のイタリア料理店3軒で計6年半修行。25歳で渡伊。 トスカーナ州「Cum Quibus」にて勤務、ドルチェの部門シェフを任される。同年2018年に一つ星を獲得。26歳で帰国、その後サローネグループ入社。「イル テアトリーノ ダ サローネ」勤務後2019年「SALONE TOKYO」sous chefに就任。 「バリラ マスターズ オブ パスタ シェフ オンラインチャンピオンシップ 2020」にてGOLD PRIZE 受賞。2021年3月より「イル テアトリーノ ダ サローネ」シェフに就任。2023年度IW100「ベストパスタ賞」受賞。2025年から「サローネ2007」シェフに就任。


INFORMATION

神奈川県横浜市中区山下町36-1 バーニーズ ニューヨーク横浜店B1[google MAP🔗]
Tel:045-651-0113
E-mail:info@salone2007.com
営業時間:ランチ 12:00~15:00(L.O. 13:00)ディナー 18:00~22:30(L.O. 20:00)
定休日:無休
※年齢:18歳以上
※ドレスコード:スマートカジュアル
公式WEB


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サローネ2007
「ラザーニャ〜アウグリオ・ディ・トゥッティ」

Augurio di tutti=みんなの願いと題した、未来に残すラザニアの意味を込めて名前を付けました。 子供たちが安心して食べられる食材だけを使用したラザニアです。 使用する食材は可能な限り、有機栽培の野菜や小麦、またホルモン剤など不使用の国産牛・豚、成分無調整の乳製品を使用します。 また、未来に残すことにも着目し、出来立てのラザニアではなく、一度冷凍したものをご用意します。 出来立てが美味しいのは勿論、冷凍しても美味しさが損なわないラザニアの良さを存分に楽しんでいただければと思います。

今回のテーマであるパスタの未来形とは、パスタを通じて、「次の世代である子供たちが安心安全に食べられるパスタを未来に残していく」ことにフォーカスを当てました。インターネットの普及により、沢山の情報が飽和している中で、本質的に良い食材=安心安全な食材を料理人として使用することで発信となり、未来に残す=現代の技術革新でもある「冷凍」技術を用いて、少しでも美味しく保存のできるパスタを提案致します。

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「発酵アーリオオーリオ」

アーリオオーリオの起源は諸説ありますが、その一つに「絶望のパスタ」と呼ばれるものがあります。絶望的な状況でも揃うような簡単な材料で作ることが出来るパスタ、という意味だそうです。今回私が作るこのパスタは動物性の要素が一切使用されていないヴィーガンメニューとなっています。使用している材料も見た目も、アーリオオーリオらしく非常にシンプルです。ニンニク、オリーブオイル、唐辛子、そして「発酵キノコ水」、この四つのみで構成されたソースと麺のみでその他の具材は一切使用していません。しかし、そのシンプルさからは全く想像が出来ない複雑な味わいと深い旨味を感じることが出来ます。ヴィーガンメニューにありがちな物足りなさは無く、ヴィーガンではない方でさえもご満足いただけるような多幸感を感じることが出来るパスタです。「絶望のパスタ」に魚介をたっぷりと加えれば勿論美味しいパスタが出来上がりますが、それを一切せずに満足感を味わうことが出来る、発酵の力の素晴らしさを存分に感じていただけるようなパスタに仕上げました。

人間の周囲にありふれた存在として生きる菌たちが引き起こす科学反応、古来より人間の生活と密接な関わりがあった発酵という現象は、現代に生きる人々のありふれた「定番」を「唯一無二」の存在へと昇華してくれる可能性を秘めていると私は考えます。「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」といえば、パスタ料理の定番であり、イタリア料理という文化を象徴するようなメニューです。「発酵」もまた、人々の歴史に寄り添い発展してきた世界的な文化です。二つの文化が絡み合うことで生まれる新しい価値観、この価値観を生み出す力こそ、「発酵」の持つ大きな可能性なのではないでしょうか。

今回私が作る「発酵アーリオオーリオ」は動物性の要素を一切加えず、ヴィーガンの方でもお召し上がりいただける植物性の旨味だけで構成された味わいのパスタです。
本来であれば物足りなく感じてしまいそうな構成に発酵の力を加えることで、動物性の旨味にも負けない満足感がある味わいに仕上がっています。「アーリオオーリオ」というイタリア文化の歴史ある「定番」メニューを、発酵という同じく歴史ある世界的な文化の力を借りて、当店がご提供する「唯一無二」の特別なメニューに仕立て、お召し上がりいただく皆様に発酵の持つ力と可能性を感じていただきたいと思っております。

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「トンナレッリ ディフェレンティ」

【Differenti ディフェレンティ】とはイタリア語で〝異なる〟を意味します。古代ローマ時代から現在に至るまでイタリア全土で作られてきた様々なパスタ料理はイタリアの伝統料理として世界中へ渡り愛されてきました。同じパスタ料理でもそれぞれ異なる土地や食文化の中で作られることによって新たなエッセンスが加わり、時代と共に進化していく。そんなパスタという存在ならではの多種多様な味わいや、異なる環境下で生じる伝統料理の変化をこの料理で感じて頂ければと思います。

構成はローマで伝統的な〝トンナレッリ カーチョ エ ペペ〟パスタは国産石臼挽きの小麦粉と米粉をブレンドし、たっぷりの卵黄を練り込んだ上質なトンナレッリ。シンプルなチーズと黒胡椒のパスタですが、ソースにはトマトの水分のみを抽出したトマト水と、トマトのグルタミン酸を引き上げるイメージで昆布水、そこに日本の甘やかなお米の味わい加えるため、熟成された本みりんを合わせています。仕上げにはパルミジャーノレッジャーノ、国産の山羊のハードチーズ、アグロフォレストリー栽培の黒胡椒、周りには金木犀とレモンの香りを移したEXVオリーブオイルをアクセントで添えることで香りのグラデーションをつけてました。グルタミン酸の旨みにトマト水の酸味やお米の柔らかな甘味が合わさることで熟成したチーズの旨みを底上げし、見た目のシンプルさとは異なる奥行きのある味わいを表現致しました。 by 山本 鉄巳シェフ