SALONE TOKYO
サローネ トウキョウ
日本におけるハイエンド・イタリア料理に挑戦するサローネグループ旗艦店








イタリア20州の州境を超える料理思考
2018年3月「東京ミッドタウン日比谷」開業ともに誕生したのがサローネ・グループの旗艦店「サローネ トウキョウ」だ。東京、横浜、大阪でハイエンドなイタリア料理店を展開する同グループはロケーション的にもマンパワー的にもおそらくは日本国内最高レベルのイタリア料理店であろう。
各店舗で活躍するシェフは、いずれもイタリアで体験し、蓄積した料理、知識、感覚を独自のフィルターを通してアウトプットしている。「サローネ トウキョウ」の料理はイタリア20州の州境を超える南船北馬の旅のようだが、それはすべて論理的思考に基づくもので理由のない組み合わせではない。イタリア料理人としてアイデンティティを皿の上に投影したものであり、そうしたメッセージをひとつひとつひもときながら料理に向き合うのは五感以上に思考を刺激される、料理好きにはたまらない濃密かつ高尚な時間である。
現在「サローネ トウキョウ」青木一誠シェフ、金 優和シェフの2トップ態勢で互いに切磋琢磨しながら料理の個性を発揮している。その顕著な例が青木一誠が発表した2023年度「パスタ未来形」だ。青木シェフが考案したのは十勝の食材を使った「アニョロッティダルプリン 十勝の思い」。これは青木シェフが十勝へ視察へ行った際、生産者の減少や後継問題など生産現場の声を聞いたことに端を発する。 パスタ生地には前田農産の国産小麦「春よ恋」を使用し、詰め物には十勝ロイヤルマンガリッツァ豚、とかち井上農場の雪室甘熟メークイン二冬越を使用。そこにとかちマッシュブラウンのクレマを合わせた。「パスタ未来形」を多くの人に広めることで問題改善のきっかけになれば、との思いを込めた一皿だ。
青木シェフの「パスタ未来形」への考察からも分かるように、「サローネ トウキョウ」の料理はイタリア料理IQが非常に高い。それは歌留多取りや聞香などに似た知的なゲームで、料理の中や背後に隠されたメッセージをいかに読み解くか?で料理の楽しみは二倍にも三倍にもなる。とはいえ決して難解な禅問答ではなく、正解は料理が運ばれるや否やサービススタッフが教えてくれるので心配は無用。歴史や文化、ストーリー、そして未来が込められた「サローネ トウキョウ」の料理と共に過ごすひとときは、きっと忘れ難い体験になるかと思う。
chef profile

青木 一誠
KAZUSHIGE AOKI
バール、トラットリア、リストランテと経験を積み、2013年に渡伊。ピエモンテ州トリノの星付きレストラン「リストランテ・ガルデニア」で先進的なコースと伝統的な郷土料理の双方を学ぶ。帰国後2016年9月サローネグループへ入社。2017年4月「サローネ2007」スーシェフを経て、2018年3月シェフに就任。2022年7月より「サローネ トウキョウ」のシェフに就任し現在に至る。
chef profile

金 優和
KIM UFHA
金 優和
1996年、神奈川県出身。2018年よりSALONE2007に入社。弓削 啓太の元で研鑽を積み、2021年にSoue chefに就任。2023年同店のHead chefに就任する。弓削と共に月替わりのコース料理を構築する中心人物となる。
INFORMATION
東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷3F[google MAP🔗]
Tel:03-6257-3017
E-mail:salonetokyo@salone.tokyo
営業時間:ランチ 12:00~15:00(L.O. 13:00)ディナー 18:00~22:30(L.O. 20:00)
定休日:年末年始(12/31~1/6)
※短パン・サンダル等の過度な軽装はお控えください。
➣ 公式WEB
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十勝へ視察へ行った際にお聞きした生産者の減少や、後継がいないなどの問題。作る人が減っていき日本からなくなる食材が増えてくる。このイベントを通じて様々な人に知ってもらう事で問題改善のきっかけになればとの思いを込めた一皿。 十勝の食材を使い、ピエモンテ州の郷土料理『Agnolotti dal Plin 』にカナヴェーゼ地方で作られ『salampatata』をイメージし詰め物にしました。 生地には前田農産の国産小麦【春よ恋】を使用し、リピエノに十勝ロイヤルマンガリッツァ豚、とかち井上農場の雪室甘熟メークイン二冬越を。そこにとかちマッシュブラウンのクレマを合わせました。放牧されて泥浴びをするマンガリッツァ豚をイメージ。これらの素晴らしい食材が未来へ残り続けてほしいという願いが僕のパスタの未来形です。
シェフが考えるパスタ未来形 by 青木 一誠シェフ
この先もパスタの形状は変わらず受け継がれていくものであり、残していく文化であると思います。 その中でパスタに使う食材は国産の物が主になっていくと感じてます。昨今の物価の高騰や輸入物が手に入りづらくなった事も理由の一つではありますが、国産食材のクオリティの高い物や、生産者さんがこだわりを持って育てられた食材がSNS等で広く発信されて誰でも知れるようになり、手に入りやすくなりました。パスタを作る上で欠かせない小麦粉も国産の物は美味しく扱いやすく品種改良されたりと、日本にはまだ知らない宝のような食材に溢れていると思います。イタリア料理も地の物を使って作られる地方料理であるように、日本のパスタも地の物(日本の物)を使った日本だから作れるパスタ料理になっていくと思います。

パスタには様々な組合せがあります。お肉や魚やスパイス、ワインなどそれこそ例を挙げればキリがない程に。自分が働いていたレストランでも色々な組み合せを学びました。様々な組み合せがある中で今回は日本の海産物【桜海老】を使ったパスタを考えました。昨今、世界的にも様々な水産資源の低下を耳にします。日本でも一昔前は当たり前に食べられていた海産物が当たり前ではなくなってしまうかもしれない…そんな想いから日本が誇る海産物を、これからも続いていくパスタの長い歴史と共に未来へと繋げていきます。そしてパスタも様々な人の、様々な新しい風を取り入れ、世代を超えて繋げていければと思います。
シェフが考えるパスタ未来形 by 高井登シェフ
料理とは、同じ料理であっても作り手によって違いがあります。パスタ料理も人や地域によって様々です。本質を捉えつつ、自由な発想で表現した料理が未来へ繋がっていくと考えます。
▶︎2024 ITALIAN WEEK 100 発酵の可能性メニュー Read more ≫

広島の猪肩ロースをスライスし、イタリアの魚醤を日本の米麹で更に発酵させたものでマリネ。ローマの豚とコラトゥーラの組み合わせを日本風にアレンジしました。麹を加える事で味に丸みをもたせ、コクと深みを増しました。又、麹のプロテアーゼの力で肉も柔らかくなります。その猪を舞茸と猪のミンチでとったコンソメの2番出汁でさっと火をいれました。 舞茸は水分をぬくように火をいれ、そこに発酵させたポルチーニの液体と、発酵させた舞茸の液体を加え吸わせました。他のキノコの要素を加える事で味と香りに複雑味をもたせ、発酵させたその物の液体を加える事で、主の香りを強化させました。 猪には、ティムールペッパーで香つけし、まいたけには発酵まいたけのパウダーをかけてあります。 仕上げに猪と舞茸でとったコンソメと、トスカーナ州のエクストラバージンオリーブオイルを。
発酵の可能性に対するシェフの考え
食の視点から見た場合、発酵は食材の長期保存や、味に深み、旨味、風味をプラスしたり、料理の表現の幅が広がる可能性が多くあります。又、発酵食材を使う事によりライトに旨味を底上げする事ができるので今の時代に合っていると私は思います。 食だけでなく、環境では発酵の力で廃棄物を土に返したり、健康や医療、エネルギーの分野でも発酵の力が活用されていて、多種の分野で無限の可能性があるのではないでしょうか。 私にとっては、発酵と向き合うことで食材に愛着がわき、変化を楽しんだり、毎回同じようにいかない事が刺激になったり、食と発酵の結びつきが料理人の発想力を豊かにしてくれるものだと私は思います。
▶︎2025 ITALIAN WEEK 100 パスタの存在証明メニュー Read more ≫

この一皿はパスタがソースのための器ではなく、パスタを通して素材と文化を語る主体であることを示す一皿です。
アニョロッティダルプリン イン ブロードは肉を煮てとったブロードとパスタを食べ、パスタには肉のリピエノが詰まる。余すことなく使う精神、素材の循環、生命のつながりを感じさせるパスタです。 リピエノには広島県中山牧場の神石牛「マル」の焼き材で使いにくい部位を煮込み、十勝ロイヤルマンガリッツァ豚の肩ロースをロースト、調理ででたそれぞれの肉汁をグッと煮詰めてあわせました。
ブロードは野菜や卵白は使わず、七谷地鶏のみでとったコンソメ。 使う素材を削ぎ落とすことでパスタそのものの存在証明、土地の恵み、暮らしの知恵、素材の循環を一口で体験できます。