Ristorante Fiocchi
リストランテ フィオッキ

美食の都、北イタリア・ピエモンテの郷土料理を東京で


ピエモンテ山奥の郷土料理をベースにした季節食材のおまかせコース

東京の住宅街、祖師ヶ谷大蔵にある「リストランテ フィオッキ」堀川亮オーナーシェフは、北イタリア・ピエモンテ州の料理を忠実に再現している。「イタリアで学んだ地方料理にわたしなりの薄い洋服を着せて提案しています」と堀川シェフ。祖母が料理の先生をしていたこともあり幼い頃から料理に親しんでいたが、イタリア料理を目指すきっかけはパスタが好きだったこと。若き日の堀川シェフはピエモンテ州始めイタリア北中部で腕を磨き2000年に地元祖師ヶ谷大蔵に「リストランテ フィオッキ」をオープンした。

ピエモンテ州といえばワインならばバローロ、バレバレスコに代表されるイタリア屈指の名醸赤ワインの生産地。ピエモンテ州はオリーブの北限を超えていることから郷土料理もトマトやオリーブオイルといった地中海的思考ではなく、地理的にもフランスに近いことからよりリッチで濃厚だ。サヴォイア家が長く支配したことから、同家御用達の菓子文化や料理文化が花開き、特にタヤリン、アニョロッティ・ダル・プリンなどに代表される手打ちパスタはさまざまなバリエーションを誇る。

2023年度「パスタ未来形」で堀川シェフが披露してくれたのは「スッポンのアニョロッティ・イン・ブロード」だった。これはピエモンテ伝統の手打ちパスタ、アニョロッティをブロード=スープ仕立てにした料理。すっぽんと鶏のスープ、すっぽんのもも肉は炭火で炙ってトッピングにしてある。アニョロッティの詰め物=リピエーノはすっぽんのゼラチン質が多い部分に、リコッタ、ツルムラサキ、ヴィネガー、チーズ、ナツメグ、シナモンに3種のオイルで作ってあり、野菜には舞茸や菜の花など季節感のあるものを使用。未来形とは進化と同意語になるが、こと伝統料理においては進化すればいいというわけではなく、堀川シェフは自分が学んだヴァルド派の料理の継承を重要視。自分のアイデンティティとして料理に組み込み、より多くのゲストにも違和感なく純粋に楽しんでもらえることを目指している。

現在の日本におけるイタリア料理は成熟の時を迎え、郷土料理至上主義からイノベイティブまで千変万化。店選びに困るのが嬉しい悩みなのだが、堀川シェフの場合は前者である郷土料理至上主義。歴史の重みを感じる美味なるピエモンテ料理を体験したい方は一度「リストランテ フィオッキ」の扉を押してみることをお勧めしたい。


chef profile

堀川 亮
RYO HORIKAWA

1972年、東京都生まれ。祖母が料理の先生をしていたこともあり、小さな頃から料理に親しむ。パスタが好きでイタリア料理界に入り、25歳で渡伊。ピエモンテ州の「リストランテ・フリッポー」をはじめ北中部での研鑽を積む。帰国後、都内のイタリア料理店を経て、2000年に生まれ育った祖師ヶ谷大蔵に「リストランテ フィオッキ」をオープン。2014年には同店2階によりカジュアルな「ズッペリア・オステリア・ピティリアーノ」もオープン。2020年に食料品店「ラ・ポルタ・ディ・フィオッキ」をオープンする。


INFORMATION

東京都世田谷区祖師谷3−4−9[google MAP🔗]
Tel:03-3789-3355
E-mail:fiocchiipad@icloud.com
営業時間:ランチ 12:00~15:00 ディナー 18:30~22:30
定休日:火曜日、水曜日
公式WEB