RISTORANTE Borgo KONISHI
リストランテ ボルゴ・コニシ
奈良で自分のイタリア料理を追求する











地中海式ダイエットを地で行く健康なイタリアン
古都奈良市の中心部、近鉄奈良駅に程近い場所にある「リストランテ ボルゴ・コニシ」は山嵜正樹氏がオーナーシェフをつとめるカウンター8席の小さなイタリア料理店だ。学生時代に料理に目覚め、当時奈良市にあったパスタ専門店で11年間働いた後、2007年6月に「ベッカン・ピアット」をOPEN。念願のオーナーシェフとしてのスタートを切り、2014年には「リストランテ ボルゴ・コニシ」にあらため、奈良の歴史や文化に根ざした自分の料理スタイルをより明確に打ち出すようになる。
2023年度「パスタ未来形」で披露した「アクア・ディ・ポモドーロ」はその典型例といえる料理だろう。これは料理を通じて奈良を潤す水の恵みを表現したパスタで、使うのは大地の未来を見据えた農業を行う奈良市前田農園のトマトから抽出した水(アクア・ディ・ポモドーロ)と、奈良に自生する柑橘「大和橘」のみという非常にミニマルかつ本質的な料理。古事記に非時香果(ときじくのかぐのこのみ)として記され万葉集の多くの歌にも詠まれた「大和橘」は一度絶滅しかけたが、現在は奈良の人々の手によって復活への道を歩みつつある。可憐で繊細なその香りは万葉の時を偲ばせ、山嵜シェフの奈良への思いが皿を通じて伝わってくる。
「リストランテは料理を表現する場ではなく、お客さまが食事を楽しんで、元気になってもらう場所」という山嵜シェフが追求するのはひとりよがりではなく、真の意味でゲストを楽しませ、喜ばせるイタリア料理だ。本来イタリア料理とは地元で採れた新鮮な食材をシンプルな調理法と、上質なオリーブオイルやワインとともに食べる「地中海式健康法」に通じるヘルシーな料理。東洋と同じく医食同源がその根底にある。「リストランテ ボルゴ・コニシ」の料理により心身ともに内面から健康になる、山嵜シェフが目指すのはそんな料理だ。
chef profile

山嵜 正樹
MASAKI YAMAZAKI
学生時代のアルバイトをきっかけに、料理人の道へ。奈良市にあったパスタ専門店「ピアット」で11年間修業した後、2007年6月にオーナーシェフとして「ベッカン・ピアット」をオープン。2014年に「リストランテ ボル ゴ・コニシ」と屋号を改め現在に至る。2019年イタリア料理コンテスト「プレミオアッチ2019」全国3位受賞。2021年「第1回奈良のいちご料理 or デザートコンクール2021」ファイナリスト。2021年在日イタリア商工会議所主催「第12回全国イタリア料理コンクール2021」優勝、及び「Japan Olive Oil Prize賞」をダブル受賞。
INFORMATION
奈良県奈良市小西町24番地 フラッツ小西2F[google MAP🔗]
Tel:0742-26-5581
E-mail:borgokonishi@gmail.com
営業時間:ランチ 11:00~15:00(L.O. 12:00)ディナー 18:00~22:00(L.O. 19:30)
定休日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
※中学生以上
➣ 公式WEB
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植物の力を借りて濾過された、大地の水の恵みを素直に表現しました。大地の未来を見据えた農業を行う奈良市前田農園のトマトから抽出した水と、古来奈良に自生する日本固有の柑橘「大和橘」の可憐な香りが、未来につながる豊かな自然の大切さを想起させてくれます。大和橘とは、古事記に非時香果(ときじくのかぐのこのみ)として記され、万葉集の多くの歌にも詠まれています。現代の奈良人により今、絶滅の危機を乗り越えようとしています。
パスタ未来形に対するシェフの考え
『人は自然と共にある』水は未来からの借り物です。私が未来へ残したいものは美しい水です。水はあらゆる生物の命を育みます。人は飲料としての水の他に、農作物へと形を変えることでも水を摂取しています。ここ奈良の地で、料理という最も平和的な形に変え、自然の懐の深さを皆様にお届けできることを嬉しく思います。
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奈良の歴史や文化から「発酵の可能性」を表現するにあたり、原始的で科学的要素が介入し辛い「木」をイメージして自然の完全性を表した3品の料理を用意しました。前菜「椎茸のフリット 奈良の森林の香り」は奈良の山道を歩くという体験型フードツーリズムを、酒造りの発酵工程からヒントを得て、奈良特有酵母を使った発酵により表現しました。山の水を蓄えた椎茸に、麴と吉野葛の酵母で乳酸発酵させた奈良在来大豆のおからを詰めてフリットにしました。サクッとした食感と椎茸から溢れる山の香りは、落ち葉を踏みしめ山道を歩く感覚を想起させます。
プリモピアット「木桶醸造醤油のリゾット」は発酵により国境を越えたリゾットです。吉野杉の木桶を使う古式醸造醤油により「醤油とイタリア料理の相性は良くない」という固定観念を完全に覆しました。また、先人が森から得た英知の結晶、つまり吉野杉の植林から始まり木桶づくり、醸造までの「伝統文化ネットワーク」の大切さを表しました。
メイン料理「宇陀牧場井上牛のタリアータ大和のフレーバーを添えて」は発酵により時空を超えたタリアータです。平城宮跡から出土した木簡から読み解かれる古代の国際色豊かな食文化から再現した「須須保利漬」に奈良漬け、大和トウキ、烏梅の3つのフレーバーを加えることでイタリア料理との親和性が生まれました。太古の記憶を呼び覚ます、大和のフレーバーをまとった新感覚のタリアータです。
発酵の可能性に対するシェフの考え
発酵とは何か。奈良時代の食文化まで辿ってみると、日本の人々が大切にしてきたものが見えてきました。奈良という長い歴史がある土地で伝承されてきた文化の内のひとつである発酵から「木」に辿り着きました。日本の人々が敬い大切にしてきた山と木。奈良の食材が発酵を介することで生まれたイタリア料理との親和性は「世界は海でつながっている」と考えられていた古代シルクロードがローマまでつながっていたことを、そして歴史を経た現代、再び世界がつながっていることを教えてくれます。発酵は時代と共に発展し伝承されながら、自然と人との共生を司ってきました。無限の可能性を秘めた古びることのない料理法です。
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「五色(ごしき)のチャルソンス」は人類が国境を越え、食を通して重ねてきた交流と調
和を、シルクロードの終着点である奈良で表したパスタの存在証明です。
パスタは中国を起源とし中東を経てヨーロッパへと伝わり、イタリア各地でユニークな革
新をとげ現代においては世界中の人々を魅了しています。そして野菜も栽培技術とともに
シルクロードを行き交い受け継がれた文化遺産であり、スパイスは大航海時代に世界に広
まりました。
これらを最もよく表しているパスタが、フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州カルニア
地方を起源とするチャルソンスです。中世、行商人が交易で得たスパイスなどの異国の食
材と地元の素材を組み合わせた甘じょっぱい詰め物のパスタで、詰め物の種類の多さと複
雑さは他に類をみません。
私は「五色のチャルソンス」で自然界の万物が5つの要素「木・火・土・金・水」の調和
から成り立つという五行説と、それらの要素を象徴する五色「緑・赤・黄・白・紫」を表
しました。5つの風味の個性を際立たせながらも一皿のパスタ料理として調和する仕立て
です。
詰め物はジャガイモを主として、クルミやまつのみなどのナッツ類、カルダモンをはじめ
とする数種類のスパイス、干しブドウやカカオなどを基本にしました。さらに「緑」は香
るハーブ、「黄」は大和橘と大地を表すウコン、「赤」は唐辛子とパプリカ、「紫」は幸福
の祈りを込めてラベンダー。5 色をまとめるソースは御門米飴とバター、仕上げに古代の
乳製品「蘇(そ)」と、奈良で最後の職人が守る「烏梅(うばい)」を散らしました。
かつてジャガイモは世界中の飢餓を救い、今イタリアのパスタ料理は世界の食卓を幸せに
している、「五色のチャルソンス」は国境を越えた人々の営みによって受け継がれてきた
文化遺産に対する感謝と敬意を込めた「パスタの存在証明」です。