RISTORANTE ALVERO
リストランテ アルヴェロ
健康志向のシェフが奏でる広島のイタリア料理










美味しく、もっと健康に。体質改善や健康促進をテーマに
以前ミラノで開催された、国際料理コンクールにジャーナリストとして参加した時のことだ。「日本人は料理人としてはとても優秀なのに料理コンクールに出場する若者は少ない。それは仕事を休みにくいという日本における労働環境と、シェフになる年齢の高さに由来するのではないか?」とある有名イタリア人シェフから問題提起されたことがある。
確かに料理コンペティションに参加するにはモチベーションはもとより、それを可能にする仕事環境に左右される。そういう意味では広島県のイタリア料理店「アルヴェロ」木村忠敬オーナーシェフはことあるごとに積極的に料理コンクールに参加する、常に切磋琢磨を旨とする料理人だ。在日イタリア商工会議所が主催する「全国イタリア料理コンクール」では5年連続決勝大会に進出。もはや「ミスターコンコルソ(コンクール)」と呼ばれて審査員全員に「アルヴェロ」の名前は広く知れ渡っているのだ。
思わずが笑みが溢れる料理が「ヴィーナス誕生」だ。これは瀬戸内産の雲丹と北海道の帆立の貝柱、モッツァレッラ、いくら、パプリカを最中に詰めた冷たい前菜。ルネッサンスを代表する画家ボッティチェッリの同名の作品にインスピレーションを得て、ビーナスが生まれる貝の代わりに最中が使ってある。「クーポラ」これはフィレンツェの大聖堂ドゥオモの丸屋根(クーポラ)に見立てた料理で瀬戸内産の太刀魚、真鯛、タコ、をゼリー寄せにしてある。医食同源、をテーマとする木村シェフらしい料理が「ローマ風スープ」だ。これは20種類の食材を使ったスープで、温度が下がるにつれて様々な味や香りが出てくる仕掛けになっている。クミン、ジャガイモ、さまざまな野菜の味と香り。どこか懐かしさを覚える手打ちパスタ、カヴァテッリとともに食べるスープだ。瀬戸内のサザエを使ったパスタは、シチリアの伝統料理であるイワシのパスタをイメージ。瀬戸内のさざえは生と火を入れたものの2種類、サフランと干し葡萄、松の実、ニンニクでシチリアらしく仕上げてある。
木村シェフのイタリア愛は深く、激しい。これまで9度イタリアを旅して15都市のレストランで地元に愛される郷土料理を食べ歩き、抱えきれない経験やアイディアを持ち帰り「アルヴェロ」の厨房で日々アウトプットしている。木村シェフにとって料理とは大切な人に喜んでもらうため、笑顔とともに心を込めて捧げるイタリア愛にあふれる贈り物なのだ。
chef profile

木村 忠敬
TADAHIRO KIMURA
美味しく!もっと健康に!体質改善や健康促進をテーマとしたイタリア料理を提供する「RISTORANTE ALVERO リストランテ アルヴェロ」のオーナーシェフ。2000年創業。在日イタリア商工会議所主催全国イタリア料理コンクールに2018年から2022年にかけて5年連続決勝大会進出。同大会2019年準優勝獲得。
INFORMATION
広島県広島市中区東白島町9-10 [google MAP🔗]
Tel:082-511-3100
E-mail:chef-serio@hotmail.co.jp
営業時間:ランチ 11:30~15:00(L.O.14:00)ディナー 17:30〜22:00(L.O. 21:00)
定休日:月曜日、火曜日(祝日の場合営業、翌平日休業)
※1〜8名様まで
※スマートカジュアル
➣ 公式WEB
▶︎2023 ITALIAN WEEK 100 パスタ未来形メニュー Read more ≫

地域ごと、季節ごとの食材をふんだんに盛んだスープは、古来から人々の活力であり、その美味しさは日々の楽しみの一つ。時代や国が変わってもその原則に変わりはなく、時間と手間をかけて調理し、多品目の食材から良質な栄養素を滋味深く体に取り入れる事は、私たちの健康を維持促進させる大切な役割を担っています。IW100スペシャルパスタは、手打ちパスタの一つであるカヴァテッリをスープに合わせました。大切な家族や友人恋人と共に作り、分かち合う事の出来る手作りパスタ。古来から、そして未来へと、人々が健康で幸せな営みを続ける為の良質な食文化の一環として受け継いでいきたいと思います。
パスタ未来形に対するシェフの考え
イタリアの各地で愛される伝統的な郷土料理を学び、尊重しながら、日本の食材や技法も取り入れ、美くしく健康的なパスタ料理を創作し、食べた人に幸せな気分を感じていただきたいと思います。
▶︎2024 ITALIAN WEEK 100 発酵の可能性メニュー Read more ≫

私はこの数年間、自分の料理の代名詞としてスープに力を入れてきました。スープは面白いもので、季節の食材や気温、湿度という条件の変化で表情を変え、何年も作り込めば作り込むほど味わいに深みや滋養味が増していきます。リグーリア州ジェノヴァの郷土料理に「メスシュア」という、豆や麦などを入れた具だくさんのスープがあります。今回はこのスープに着目し、発酵の要素を盛り込みました。香味野菜や豚の挽き肉など20品目の食材を使ったスープに、日本の発酵食材である鰹、鰯、鮪など5種類の削り節や昆布を使い、独自製法で薫りを飛ばし旨味成分を凝縮させたブロードと、米麹にシチリア産天日塩を加えて作った「塩糀」を加え、ブレンダーで滑らかな液状に仕上げました。古代ローマ時代のクォーコは、君主や将軍などに出した残りの材料で美味しいスープを作り、大豆や麦を加えて兵士や労働者の力の源を作っていました。そんなイメージを基に現代のクォーコとして再構築し、進化させたスープ。塩糀に含まれるプロテアーゼは食材のタンパク質を分解し、消化しやすくすると同時に旨味成分であるアミノ酸を作り出す為、スープをより美味しくし、腸内環境を良くします。まさに発酵は美味しさと健康を両立させる料理の極意といえます。
発酵の可能性に対するシェフの考え
イタリアでは古くからサレルノ養生訓や地中海式食事法が提唱されており、近年でもスローフード運動発祥の地として、1消えゆく恐れのある伝統的な食材や良質な食品、酒を守る事 2良質な素材を提供する生産者を守る事 3子どもたちを含め、消費者に味の教育をする事、を指針とし、代々伝わる伝統的な食文化を守っています。その食文化を支える発酵食品として、生ハム、サラミ、アンチョビ、チーズ、ワインなどがあり、ピザの生地やパンも、小麦粉に酵母を入れて発酵させて作ります。一方日本では独自の発酵文化を築いており、代表的な発酵食品である醤油、味噌、日本酒、みりんはすべて「麹菌」と呼ばれるカビで発酵させたもの。この麹菌は事実上日本にしか存在せず、日本人が飼いならした菌であり、麹菌こそが日本の発酵文化の真髄だといえます。それぞれの国で古くから継承されている発酵の役割は、食材や調理法の組み合わせによって無限に拡がる可能性を秘めており、その効能と効果は料理を美味しくするだけでなく、私達の体内で腸内環境を整え、健康をより良く維持促進させる作用があります。今後とも日々の食生活にも積極的に取り入れ、実体験として知り得た効能や効果をレストランでも伝え広めていきたいと考えています。
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Tirache (ティラーケ)とは、イタリアのヴェネト州、特にトレヴィーゾやパドヴァに由来する伝統的なパスタです。水と小麦粉を練って作られるシンプルなこのパスタは、その見た目がサスペンダーを意味するヴェネト州の方言「ティラーケ (Tiràche):イタリアの標準語ではブレテッレ (Bretelle)」のように見えることから、この名前が付けられました。生地をやや厚めに伸ばし、幅広の麺に切ったパスタを、硬水、羅臼昆布、干ししめじ、天日塩のスープで茹で、滑らかでコシのあるアルデンテに仕上げます。合わせるソースはトレビスのペスト。トレビスはイタリアではキオッジャと呼ばれるラディッキオ(赤チコリ)の一種でヴェネト州の特産野菜です。赤と白のコントラストが美しい球形のイタリア野菜で独特の苦みがありますが、調理の仕方で甘みを引き立てる事ができます。 地元産の新鮮なキオッジャ(トレビス)に、オリーブオイル、松の実、塩糀、野菜のブロード、グラナパダーノを加えたペストにパスタを絡め、自家製の塩糀と甘酒でマリネしたキオッジャを被せて仕上げました。提供する直前にはオークの樹の燻煙を纏わせています。イタリアの郷土料理を尊重し、日本の伝統的な発酵技術の要素を盛り込み、それぞれのアイデンティティを組み合わせ、繊細な素材の持ち味と薫りのコントラストで手打ちパスタのシンプルな美味しさと食感を存分に楽しんでいただきます。