il Centrino
イル・チェントリーノ

大阪の古民家を改装した心安らぐ空間


30歳で料理人に、そしてミシュランの星をつかむ

大阪市内で古い長屋が連なる庶民的な一画、空堀商店街。その近くにある、古い古民家を改装したイタリア料理店が「イル・チェントリーノ」だ。オーナーシェフ北口智久氏は会社員生活を経て30歳で料理人に転身。37歳でイタリアに渡り4州5軒のレストランで修行した経験を持つ料理人。中でも北口シェフが働いていたヴェネト州の山間にある料理旅館「ロカンダ・サン・ロレンツォ」は、地元の希少食材を使った料理を出す素晴らしいレストランだったことは今もよく覚えている。

「イル・チェントリーノ」ではソニアソムリエであるマネージャー、魚見洋一氏の実家から譲り受けた箪笥や古材を使用しており、昔からあるような空気が漂うとても落ち着く空間。手作りゆえの温かみが料理、ワインともに極上の時間を生み出しているのだ。

ある日のランチはこのような内容だった。まず最初に「鱧 ヨーグルト キュウリ ミント」でこれは徳島産鱧のフリットに火を入れた柔らかいおかひじき、ヨーグルト、キュウリ、ミントのフレッシュな酸味のソースはどこかギリシャ料理を思い起こさせる。「牡蠣 根セロリ 青リンゴ フィンガーライム ディル」はミルキーな牡蠣に根セロリのクリームがぴったりの相性でフィンガーライムやディルの爽やかな香りは余韻が長い。「鮑 コラトゥーラ 茄子 バジル」は蒸した鮑にナスのピューレ。鮑の肝のソースの苦味と茄子の焦げた感じが絶妙のハーモニー。トスカーナらしい「トリッパ 白インゲン豆 赤タマネギ レモン」はトマト抜きのトリッパの煮込みでレモンの香りが全体を締めている。「鮎 イカ墨 うずら豆 クレソン 」は鮎のトルテッリにクレソンのピューレとイカ墨の組み合わせ。「タリオリーニ 鴨 ポルチーニ茸」は鴨とサマーポルチーニのラグーソースのパスタで、ネピテッラ(イヌハッカ)の香りがイタリアの定番。「エゾ鹿 コトレッタ 南高梅 西洋ワサビ」は夏鹿のコトレッタで西洋ワサビが効いた自家製のモスタルダでさっぱりと食べさせてくれる。

北口シェフの料理は、イタリアで培った郷土料理をベースに現代風の味付けを施したモダンかつリベラルなイタリアの味。これぞと気に入った旬の食材を使って従来の既成概念を超えた組み合わせや調理法で斬新な料理を提供してくれる。大阪市中心部の庶民的な一画にありながらもとても心地よいひと時を過ごせる瀟酒なリストランテなのだ。


chef profile

北口 智久
TOMOHISA KITAGUCHI

1976年大阪府堺市出身。大学卒業後、会社員務めなどを経て中目黒「ラ・ルーナ・ロッサ」にて30歳で料理人としてのキャリアをスタート。2013年に渡伊。リグーリア州、ピエモンテ州「il Centro」、ヴェネト州「Locanda San Lorenzo」など 4州5軒のレストランで修行。帰国後、大阪本町「オンブラ」料理長就任。2017年7月「イル・チェントリーノ」開業。 座右の銘は「No pain, no gain」。


INFORMATION

大阪府大阪市中央区瓦屋町1-2-2[google MAP🔗]
Tel:06-6762-5901
営業時間:ランチ 12:00~15:00(L.O. 13:00)ディナー 17:30~22:00(L.O. 19:30)
定休日:日曜日、不定休あり
公式WEB