Grape Republic Vineria Salone
グレープ リパブリック ヴィネリア サローネ
2024年夏、鎌倉に誕生したワイナリー直営レストラン









「グレープリパブリック 」との縁はビオディナミコ以前に遡る栗山シェフの挑戦
2024年8月古都鎌倉にオープンした「グレープリパブリック ヴィネリア サローネ」はサローネグループの最新店舗だ。これは同グループが運営する山形県にあるワイナリー「グレープリパブリック」直営レストランでもあり、同ワイナリーのワインがずらりと揃う充実のラインナップが自慢だ。「ヴェネリア」とは「ワイン=ヴィーノ」と「居酒屋=オステリア」を組み合わせた造語であり、イタリアでもワインにあう料理を提供するレストランに名付けられていることが多い。ワイナリー直営レストランだけにボトル単位での注文はもちろんのこと、ディナータイム限定4000円で同社のワインが飲めるフリーフローサービスもあるので「グレリパ」ファンにはたまらない。
初代シェフに就任したのは渋谷の「ビオディナミコ」でシェフを務めていた栗山義臣氏。実は栗山シェフは「ビオディナミコ」で働き始める前に「グレープリパブリック」で1週間ワイナリー研修をした経験があり、その記憶が強く残っているのだ。山形県南陽市にある同ワイナリーは、開けた置賜盆地に向かって緩やかな斜面が広がっている、ブドウ栽培に最適な土地だ。栗山シェフが彼の地を初めて訪れたときは梅雨時期だったにもかかわらず爽やかな空気と丘陵地帯に広がるブドウ畑、そして何よりもワイン作りのプロたちが一丸となって働く姿に心を打たれ、土に触れ、風を感じながら「ものをつくる」という根源的な魅力に深く感動したという。その8年後に「グレープリパブリック」初の直営レストランでシェフを務めることになったことは偶然ではなくもはや必然であったのだろうと想像する。
栗山シェフの料理コンセプトは「グレープリパブリック」のワインありきで逆算して構成している。例えば卵や青魚、からすみ、油脂の強い食材といった同社のワインとの相性が難しい素材は避け、食卓を彩れる料理」として主張しすぎないが存在感がある料理を目指している。
例えば「自家製酵母パンのクロスティーニ」 毎朝自家製の天然酵母でおこしたライ麦ベースのパンをトーストし、ストラッキーノ、 ホワイトバラサミコとエシャロットでマリネしたミニトマトをトッピング。「香味野菜と真鯛のカルパッチョ」は 1日かけて旨味を凝縮させた三浦半島の真鯛に長ネギ、セロリ、シソのスプラウト、ミョウガ、ディルという5種類の香味野菜の組み合わせ。アクセントとしてオレンジも組み合わせてある。「子羊のポルペティーノ・ンドゥイヤのソース」は、クミンを効かせた子羊のミートボールにカラブリア伝統、唐辛子を加えて発酵させた豚肉のペースト、ンドゥイヤを加えたトマトソース。トマトの甘みと旨味に加え、 辛口のンドゥイヤでワインも進む。
パスタは「パスタ世界チャンピオン監修のラザニア」だ。これは2023年度パスタ未来形で「サローネ2007」弓削啓太シェフ(当時)が披露した料理だが、現在はサローネグループ内のシグネチャーディッシュのひとつとして定着している。 持続可能性を追求した未来に残したいラザニアは一度焼き上げてから冷凍。そうすることで長持ちするだけではなく、 生地とソースが一体化されて、 口当たりや味わいがより滑らかでクリーミーとなる。今回使用している牛乳のは島根県産の加熱処理をしていない牛乳なので子供でも楽しめる。「高原黒牛ランプのロースト」は 広島県の中山牧場牛肉で、 黒毛和種と乳用種を掛け合わせた交雑種だが脂の旨味と、噛むほどに旨味が広がるそれぞれの特徴を兼ね備えている。
40歳という人生の節目で住居も鎌倉へと移し、新たなコミュニティを築くことに挑戦したいと語る栗山シェフは、実は野心家であるという。「グレープリパブリック ヴィネリア サローネ」シェフに就任しただけでは満足せず、目指すのは更なる高みだ。「いきなり鎌倉でナンバー1になるとはいいませんが、3番手あたりからじわじわと上を目指していきたい」栗山シェフの新しい挑戦は鎌倉だけではなく神奈川県全体のイタリア料理勢力図を変えうる存在となるかもしれない。
chef profile

栗山 義臣
YOSHIOMI KURIYAMA
1984年鹿児島県生まれ。2005年サローネグループの前身である銀座「リストランテ・シチリアーノ」で働き始める。地元鹿児島の「ふくどめ小牧場」やタイなどでの料理経験のあと2019年「ビオディナミコ」にて再びサローネグループで働き始める。2021年同店シェフに就任。2024年8月「グレープ リパブリック ヴィネリア サローネ」オープン時にシェフに就任。
INFORMATION
神奈川県鎌倉市小町2-6-28[google MAP🔗]
Tel:0467-55-8295
営業時間:ランチ 11:30~14:30(L.O.14:00) ディナー 18:00~21:30(L.O.20:00)
➣ 公式WEB