FARO
ファロ
浜本拓晃氏が新たなシェフに就任し「ファロ」第二章を目指す
ヴィーガン・イノベーティブで新境地に挑む
長らく伝統料理、あるいはいわゆる90年代に代表されるような高級イタリア料理=アルタ・クチーナ一辺倒だった日本のイタリア料理界において、イノベーティブあるいはガストロノミーという世界的なトレンドを日本にもたらしという意味で「ファロ」の功績は非常に大きい。2018年よりエグゼクティブシェフを務めていた能田耕太郎シェフに代わり、2024年より新たにシェフに就任したのが浜本拓晃氏。能田シェフとともに「ファロ」を牽引してきた料理人であり「ヴィーガン」「ガストロノミー」という「ファロ」の2大コンセプトは揺らぐことはない。
一貫して「ファロ」が目指すのは枠にとらわれない料理と新しいレストランのかたち。それはイタリア料理でありながらもイタリア料理という既成概念や枠を飛び越え、これからのイタリア料理の代表的存在となっていくのではないだろうか。「ファロ」とはイタリア語で灯台という意味。銀座から世界に光を放つレストランを目指すというその志は高く、浜本シェフがどのような灯りを見せてくれるのか。2024年も注目のレストランであることは間違いない。
2024 ITALIAN WEEK 100 発酵の可能性メニュー
前日にあがったカツオの血合いの酸味をあえてとらずに、梅の酸味とあわせて仕上げました。 本来、カツオは血合いをとって料理に使うことがほとんどですが、今回使用しているカツオは特別な 手当を施しているため血合いまで料理に使うことができます。カツオの血合いの美味しさをそのま ま活かしたいという想いで創り上げたひと皿です。 醬油の原型となる煎り酒を造る工程をアレンジし、梅干しと白ワインを煮込み、梅の酸味と旨味を カツオにあわせました。 また、血のにおいのようなカツオ独特の味わいに近いニュアンスを持つ食材として、ビーツを。 バジルのオイルと、仕上げのマイクロフェンネル、花穂紫蘇で香りをプラスしました。
米麴で 1 ヶ月発酵させた無花果と、塩釜焼にしたビーツを使って表現しました。 無花果は皮の部分で香りが楽しめる食材。発酵ならではの無花果の香りで味わうひと皿です。ビーツは塊のまま 180 度のオーブンで 3 時間塩釜焼にした後、丁寧にくり抜きました。 ソースはオリジナルで作っているヴィーガンヨーグルトをベースに、レモンの汁で酸味を足したサワークリームのような味わいです。 ヨーロッパで食べられているビーツのサラダを日本的な解釈で仕上げました。 サワークリームの酸味と味噌に通ずるような旨味があわさったひと皿は、新しい組み合わ せでありながらもどこか懐かしさを感じさせます。
イカの煮込みのリピエノをクロレラとカカオの生地で包んだラビオリです。 自家製のイカの塩辛にココナッツミルクをいれてソースにし、周りにこぶみかんの香りの オイルを加えました。 イカの塩辛は、パスタに合う発酵の味わいを意識し、酸味よりも旨味を増幅させた味わいに 仕上げています。 料理を作るとき、イタリア料理という括りは前提としてありますが、シェフが辿ってきた道 のりや人生も味わってほしいという想いがあります。 今回はシンガポールでシェフを務めた経験から、本来イタリア食材では使わない食材であ るココナッツミルクを加えてアジアの要素をプラスしています。 仕上げに乾燥させた浜納豆をパウダーにしたものを乗せ、力強い香りを表現しました。
カシューナッツ、マッシュルームペースト、柚子胡椒のリピエノを、野菜の端材を使った生 地で包んだラビオリです。 スープは乾燥させたマッシュルームとクロモジの枝から抽出した出汁で仕立てました。 マッシュルーム、柚子胡椒、クロモジを発酵させ旨味を引き出しています。 柚子胡椒とクロモジのすこしスパイシーな風味にマッシュルームの出汁があわさることで 優しい味わいに仕上がっています。 角が取れたまろやかな味わいのラビオリは、コースの流れの中でほっとするようなひと皿 を提供したいという想いで考案しました。
発酵の可能性に対するシェフの考え
「発酵」には大きく二つの可能性があると考えています。 一つ目は、食材の魅力を引き出すこと。 一般的には発酵といえば酸味が増すイメージですが、発酵させることで香りの余韻が長く なったり、旨味を増幅させることができます。どんな旨味が伸びていくのかは発酵させる食 材によってさまざま。作るタイミングや食材の状態、作り手の想いによって完成形の味にば らつきが出ることも発酵の面白さだと思います。調理の際に他の食材との組み合わせや味 のバランスをとることに料理人としての手腕が問われますが、それを発酵の醍醐味として 楽しみながらひと皿を創り上げています。二つ目は、食材の保存性を高めること。 冷凍することで食材を長く保存することはできますが、食材の美味しさが引き出されると いうことはありません。その点、発酵は保存性を高めるだけでなく食材の旨味を引き出して くれる工程。食材を美味しく保存することで、旬の時季が異なる食材同士が季節を超えて同 じ皿の中で出合えることも発酵の可能性だと感じています。
chef profile
浜本 拓晃
HIROAKI HAMAMOTO
群馬県生まれ。25歳のときに料理人を志す。2012年、地元の有名店に自ら志願して入店。2016年に「サンペレグリノ ヤングシェフ国際料理コンクール」でセミファイナルに選出され、レベルの高さに衝撃を受けてイタリアへ渡ることを決意。2017年の渡伊後はピエモンテ州、プーリア州、ラツィオ州、北から南まで地方色の強い名店で研鑽を積み、その後、シンガポールに渡りシェフを務めた。2018年10月の新生「ファロ」のリニューアルオープンに加わり、2023年にシェフに就任。
INFORMATION
東京都中央区銀座8-8-3[google MAP🔗]
Tel:03-3572-3911
E-mail:faro.reservation@to.shiseido.co.jp
営業時間:ランチ 12:00~15:30(L.O. 13:30)ディナー 18:00~23:00(L.O. 20:00)
定休日:日曜日・月曜日、夏季・冬期休業あり
※スマートカジュアル
※お子様対応
※ランチ 可、ディナー コース料理を召し上がれる方
➣ 公式WEB