Don Bravo
ドンブラボー
星付き店で修行したシェフによるピッツァ現在進行形










コース料理で発揮するピッツァの魅力再発見
イタリアンウイーク100参加店舗は、北海道から沖縄まで100軒のTOPイタリア料理店が参加しており、カテゴリー的には全てがリストランテ、トラットリア、またはオステリア。ピッツァを専門とするピッツェリアは対象外なのだが唯一例外的なのがこの「ドンブラボー」だ。
それは平雅一シェフのイタリア料理に対する哲学が一般のピッツェリアとは違う方向を目指しているからに他ならない。平シェフは元々ピッツァ職人を目指していたわけではない。かつて広尾で一世を風靡した林冬青シェフの「アッカ」で腕を磨いたのちイタリアに渡りフィレンツェ「ラ・テンダ・ロッサ」ミラノ「サドレル」シチリア「ドゥオーモ」といった各地域を代表する名店で修行を積み重ねて日本に帰国。2012年にはかつて父親が経営していた鉄板焼き店があった場所に「ドンブラボー」を開いたのだ。
近年イタリアではピッツァと発酵に関する研究が進み「コンテンポラリー・ピッツァ」というシェフ的発想から誕生した新しいピッツァが人気だ。日本ではまだピッツァはイタリア料理のコースの中には登場しない。ポピュラーではあるけれどいわゆるイタリア料理とは異なる存在と軽視される風潮があるが、平シェフはコースの中にうまくピッツァを取り入れている。ピッツァはあくまでも王道のマルゲリータ、しかし他の料理は伝統料理であるリボッリータやさまざまなパスタ、さらにはイノベーティブな要素を取り入れたオリジナルの現代的イタリア料理も登場する。それこそ「ドンブラボー」ならではの料理スタイル。先入観や前例にこだわらないリベラルなイタリア料理がそこにある。
平シェフが2023年度「パスタ未来形」で考案したのがトスカーナ地方の伝統料理である「カレッティエッラ」。これはトマトソースのパスタをすべて薪火の上でホーロー鍋によって仕上げたもの。ホーロー鍋を使うことでトマトソースの具材を鍋が吸着せず、ソースがしっかりと残り、薪火を使うことでガスでスピーディに仕上げるのとは異なる味わいを持たせる。たとえ同じ素材を使っていても、調理の工程や手法、アプローチの違いによって、それまでとは異なるベクトルを持った味わいが生まれる可能性がありると平シェフはいう。本質的かつクリエイティブな美味しさを目指しす平シェフにとって、新しい発想や調理の思考を盛り込んだパスタだ。
chef profile

平 雅一
MASAKAZU TAIRA
広尾「アッカ」に勤務後、渡伊しフィレンツェ「ラ・テンダ・ロッサ」、ミラノ「サドレル」(ミシュラン 二ツ星)、ラグーサ「ドゥオーモ」(ミシュラン 二ツ星) 等で3年間修業。帰国後、広尾「リストランティーノ バルカ」現「アーリア ディ タクボ」に勤務し、三宿「ボッコンディビーノ」でシェフを務める。2012年6月「ドンブラボー」をオープン。
INFORMATION
東京都調布市国領町3-6-43[google MAP🔗]
Tel:042-482-7378
営業時間:ランチ 12:00~15:00(L.O. 14:00)ディナー 18:00~23:00(L.O. 22:00)
定休日:水曜日
※お子様をお連れの際は、事前にご相談ください。お席は半個室のみのご案内となります。他のお席のご案内は出来かねますのでご了承ください
※お苦手・アレルギー食材がある場合は、必ずご要望欄へ人数の詳細もご明記ください
※予約詳細の確認のために、店舗からお電話させていただく場合がございますので、必ず確認が取れるようご協力をお願いします
➣ 公式WEB
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トマトソースのパスタをすべて薪火の上でホーロー鍋によって仕上げた一品。ホーロー鍋を使うことでトマトソースの具材を鍋が吸着せず、ソースがしっかり残る。薪火を使うことでガスでスピーディに仕上げるのとは異なる味わいを持たせるなど、調理の工程が生む味の違いを積み重ねる発想をパスタ未来形として表現した。
パスタ未来形に対するシェフの考え
たとえ同じ素材を使っていたとしても、調理の工程や手法、アプローチの違いによって、それまでとは異なるベクトルを持った味わいが生まれる可能性があります。今後も本質的なクリエイティブな美味しさを目指していきたいと考えており、新しい発想、調理の思考を盛り込んだパスタを未来に残したいパスタとして表現しました。
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一般的に生しらすで作るロザマリーナを真鰯つくりました。理由としては、サスティナブルな観点で言うとイワシをより多く食べることが重要だと学んだからです。まず絶対的に個体数が多い。大きな生態系の中で見たとき、イワシは海洋の食物連鎖の一番下にいる魚なのです。なので、国民の食用として十分安定的に配給できるんです。マグロやカジキのような大型魚は成長するまでに時間もかかるし、大量の餌(魚)が必要になります。日本では資源管理があまりされておらず、個体数が大幅に減ってしまい、クロマグロは絶滅危惧種になりました。一方、日本におけるマイワシの漁獲量は2022年で56万トンほど。80年代の1/4くらいの量になっていますが、このうち人間が食べる量は25%ほどで、あとの7割以上は養殖の餌や農業の肥料になっているんです。非食用のイワシは魚価が極端に低い。イワシが食用としてもっと流通すれば魚価も上がって漁師に還元できる。自然のサイクルの中でイワシを食べることが個体数の少ない魚の乱獲も防ぐことにつながるのです。更に今回は鰯を発酵させることにより長い期間保存もできてより旨みをあげ美味しくなります。辛くて旨みたっぷりのロザマリーナと軽いカボスクリームパスタを合わせました。
発酵の可能性に対するシェフの考え
料理において発酵はとても重要な調理法です。美味しさを上げるためや長期保存の為。イタリアンだとワイン、ピザ、アンチョビ、今まで普通に食べていた食材を発酵させる事により食べたことのない味に。そしてそんな食材達を合わせたら新しいお料理が産まれます。ただ発酵はしっかり知識をもちながら取り組まないと危険です。そこに注意をしながらチャレンジしていきたい無限大の調理法です。
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テーマは「香」。人の心を揺さぶる為には「美味しさ」を追求したい。以前まで「美味しさ」は味の側面から見た時、旨味のボリュームだったり、塩味の塩梅だったりを意識してきました。今は「美味しさ」を感じてもらう大切な要素は香だと考えています。
・日本料理の職人が季節の食材に拘る理由は、季節の食材=香りが強い時期だから
・香りがしっかりあったり、バランスが良ければ、旨味、塩味が欠けていても美味しく感じる
「美味しさ」の情報(ストーリー)の側面から見た時、もうみんなが知っていて物差しのあるジェノベーゼを次のステージに。パスタが茹で上がってから、回して出来上がるジェノベーゼ。バジルを感じてもらう為、定番の組み合わせのジャガイモ、インゲンをインゲンだけにします。更にジェノベーゼに入るべきニンニクの香りも、香りはするが味のしないニンニクオイルをつくり、青く茹でたインゲンにのみ和える。パスタは、なめらかな喉越し舌触りを目指し低加水。(手では練れないぐらい)香が取りやすいよう温度は人肌。パスタソースは、蛤の出汁とバジルオイル。