CUCINA ITALIANA TOUDOU
クチーナ イタリアーナ 東洞
築100年の京町家で味わう純粋なるイタリア料理










北から南まで、イタリア各地の厳選した郷土料理を
「クチーナイタリアーナ 東洞」は、実に京都らしい築100年の町屋を改装した一軒家レストランだ。1階は重厚な一枚板のカウンター席、2階がテーブル席。和洋をミックスした閑静な空間では谷亮佑シェフのイタリア料理が味わえる。
谷シェフはオーストリア国境に近いドイツ語圏のアルト・アディジェ州やミラノがあるロンバルディア州といった北イタリアで修行。寒い地方らしくバターや動物性の煮込みなど、冬に食べれば心身ともに温まるような料理を提供している。例えばドイツ料理ではつけあわせによく登場するスペッツレはアルト・アディジェ州の郷土料理でもあり「クチーナイタリアーナ 東洞」のメニューにもしばしば登場する。しかしそれだけにとどまらず谷シェフが作る料理は魚介類を使った南イタリア料理から現代風な低温調理を活かしたものまで幅広い。
例えば最初に登場するアミューズは一口サイズのパイ生地にフォワグラ、マスカルポーネ、すもものじゃむをトッピングしたフィンガーフードでフォワグラの塩気とジャムの甘みが心地よい。琵琶湖産の淡水魚をよく使うという谷シェフだが、知り合いの漁師が季節ごとに鮎、わかさぎ、琵琶ますなどを届けてくれるという。琵琶マスのマリネはバーニャカウダソースとナスのペースト、酸味が心地よい野菜のマリネとともに食べる。鴨胸肉のハムはオレンジと蜂蜜のソースという黄金の組み合わせで、さっぱりとした口当たり。鮎の自家製タリオリーニは、鮎のわたがほろ苦くて実にいい塩梅でアンチョビを思わせる熟成感がある。
2023年パスタ未来形で谷シェフは「愛媛県産米粉のタリオリーニ スモークした鯛のスープ仕立て」を披露してくれたが、これは妻の実家がある愛媛をテーマにしたもの。結婚前は縁がなかった愛媛の地と深い縁ができたように、自分のパスタはこれからも進化を続けていくだろうという。しかしたとえ進化したとしても昔ながらの調理法や味は残していきたいという思いも強い。それこそがイタリア料理の根幹だからだ。歴史ある京都で味わう温故知新のイタリア料理。「クチーナイタリアーナ 東洞」なら、そんな記憶に残る料理に出会えるはずだ。
chef profile

谷 亮佑
RYOSUKE TANI
京都の専門学校一年制を卒業後 東京、京都、大阪のイタリア料理店で勤務 滋賀県のウェディングレストランで料理長を経験後、イタリア料理の追求の為30歳で渡伊。 フィレンツェに2か月間学校に通いトレンティーノ・アルトアディジェ州メラーノの一つ星のレストランで5か月、ロンバルディア州カルヴィザーノの一ツ星のレストランで5か月修行。 帰国後MASTERMIND株式会社に入社。「リストランテ美郷」、DINING、CAFE、BAR閏を経て、4年目に「CUCINA ITALIANA 東洞」のシェフに就任。
INFORMATION
京都府京都市中京区竹屋町下る三本木五丁目496-3[google MAP🔗]
Tel:075-212-5207
E-mail:todou@mrmd.co.jp
営業時間:ランチ 11:30~14:00 ディナー 17:30~22:00
定休日:毎週木曜日、第二・第三水曜日
※未就学児のお子様不可
➣ 公式WEB
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常に進化し続けるパスタ。今回私が選んだ食材は我が子の生まれ故郷の愛媛の鯛と愛媛の米粉。 古代ローマ時代から作られていた魚醤。今回は愛媛の鯛を使って自家製の鯛の魚醤を作りました。鯛のフィレを鯛の魚醤でマリネし、妻の実家で取れた稲穂で軽くスモーク。 同じく米粉とセモリナ粉を混ぜてタリオリーニを作りました。 仕上げに鯛のスープ注ぎます。結婚前は縁のなかった愛媛という土地。子供たちが大人になる頃にはまたパスタは進化を続けてると思います。しかし進化したとしても昔ながらの調理法、味というのは残していきたいと私自身は考えております。そしてまた味の記憶として残していってほしいです。
パスタ未来形に対するシェフの考え
18年間イタリア料理に携わってきて、僕が考えるパスタとは、調理はシンプルに。食材の力を最大限に引き出す事を心がけて毎日パスタと向き合っています。 私が東京で食べたローマ風カルボナーラ。何十年たった今でもその当時の感動と驚きは今でも心に残っています。 人の心に響き、残るパスタをつくって行きたいです。
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今回私が選んだ食材は初の試みでありますが青森県産の熊です。そこに6ヶ月間熟成させた自家製の丹波黒豆の味噌と同じく6ヶ月間熟成させた自家製の鯛の魚醤を加えました。ジビエと味噌は日本で古くからの組み合わせですが、今回は主役を熊とし、その味をしっかりと引き立てるように作りました。魚醤は日本最古の発酵食ということで取り入れ、今まで味わったことがない複雑味のあるボロネーゼに仕上げました。熊肉は魚醤、味噌、赤ワインで一日マリネし、仕上げに国産の茸を加えイタリアでよく食されているシンプルなボロネーゼではなく、東洞オリジナルのボロネーゼに仕上げました。(食材に限りがあるため熊から猪に変更の場合あり)
発酵の可能性に対するシェフの考え
私達の日常に多く登場する発酵食品。日本だけでなく世界には様々な発酵食品が存在します。世界最古の発酵食はワインと言われ、日本最古は魚醤だそうです。今20年間イタリア料理に携わっていて、自分が日本で作るイタリア料理はどう進化させていこうと考えています。例えば和食は麹菌によって醤油、味噌、みりんが生まれ、日本独自の和食が確立されました。今回のテーマの発酵の可能性。イタリア料理という枠だけににとどまらず、今日本の京都という土地で料理を作らせていただいて、料理を食べたときの懐かしさや温もりを感じてもらえるような料理を考えていきたいです。
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京都の中嶋農園様と自社で10年の歳月を経て、加熱する事で爆発する絶対的な甘みと酸味が濃縮したサンマルツァーノトマトを完成させました。そのトマトでソースを作り、青森県産のにんにく、唐辛子、イタリアンパセリ、自家製の鯛の魚醤でまとめました。
パスタは今回、生パスタではなくマンチーニ社のスパゲティーニで仕上げております。20年間パスタを作り続け、自分が今表現できるアラビアータに仕上がりました。このパスタは完成形ではなく、長い料理人人生で自分と共に成長し続けていくものだと私は思っている。
パスタの存在証明
私が考えるパスタの存在証明とは自己の存在証明と結びつくものがあると思います。
20年以上前、シェフにアラビアータを作った際に言われたことがすごく私の中に残っています。
当時の私はシンプルなパスタはレシピ通り作っていれば簡単と考えていました。しかしシェフに「このパスタにはなんの感動も生まれない」と言われた時、理解に苦しみました。
確かにシェフが作るアラビアータは私とは何かが違うけど同じレシピ通りの作り方をしているのになぜこのように差がつくのか。
わからないまま時が過ぎ、その答えはイタリアでの修行時代に見つかりました。a modo mio シンプルなものこそ自分らしく作りなさい。そこから私にとって料理とは複雑なことをするよりもシンプルに仕上げて自己の存在証明をするものへと変わっていきました。
過去より作り続けられているパスタこそ先人達の存在証明であり私達イタリア料理人は未来へ残していくべきだと私は考える。