Clima di Toscana
クリマ ディ トスカーナ
4年暮らしたトスカーナへの愛情を料理を通じて表現する








トスカーナのミクロクリマを表現する本郷三丁目のイタリアン
文京区本郷三丁目、閑静な住宅街の一画に「クリマ ディ トスカーナ」はある。店の前にそびえるのは樹齢600年を誇る「本郷弓町のクス」と呼ばれる楠木だ。佐藤真一オーナーシェフは1998年にイタリアに渡り「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」「ダル ペスカトーレ」「エノテカ ピンキオーリ」などイタリアにおける料理史の一部なっているような名店で5年半修行。帰国後2017年に「クリマ ディ トスカーナ」をオープン。
店名は「トスカーナ地方の気候」という意味でシンプルながらも味わい深い郷土料理と名醸ワインの産地であるトスカーナに対する佐藤シェフの敬意が込められている。トスカーナ、と一口にいっても標高1000m近い山岳部からティレニア海に面した地中海性気候の沿岸部、さらにはキャンティ地方に代表される緑豊かな丘陵地帯までその表情はさまざま。そうしたミクロクリマを細かく料理に表現する佐藤シェフからは、イタリア修行時代に最も長く暮らしたトスカーナへの愛情がひしひしと感じられる。料理のコース名は「クリマ=気候」。佐藤シェフの料理を通じて、トスカーナの豊かな気候を感じるひとときは稀有な体験となるはずだ。
佐藤シェフの2023年度パスタ未来形は「ムジェッロ風カペレッティ イノシシのラグー」だった。ムジェッロとはフィレンツェ北方にある山深い地方で、ジャガイモの詰め物パスタが名物。トスカーナで暮らした佐藤シェフは、ムジェッロの人々が今日も食べているであろう伝統的なパスタを日本で伝承していきたいとの思いを込めてこのパスタを作った。それは未来永劫残していきたいパスタであり、50年先も変わらない不朽不変の味なのだ。
chef profile

佐藤 真一
SHINICHI SATO
青森県出身。高校卒業後赤坂のイタリアンで修業を始める。98年渡伊。「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」(2ツ星)、ダルペスカトーレ(3ツ星)、エノテカピンキオーリ(3ツ星)などで5年半学ぶ。2006年イルデジデリオ(南青山)のオープンと同時に総料理長に就任。2017年オーナーシェフとして「クリマ ディ トスカーナ」を本郷にオープン。ワインと料理で食事の楽しい時間を演出する。イタリア、日本の文化、風土を大切にし、素材と背景の想いを皿に描く料理人。J.A.S.のソムリエ資格取得。日本イタリア料理協会実行委員。
INFORMATION
東京都文京区本郷1-28-32-101[google MAP🔗]
Tel:03-5615-8258
E-mail:info@clima-di-toscana.jp
営業時間:
ランチ 12:00~13:30(L.O. 15:00)
ディナー 18:00~20:30(L.O. 23:00)
定休日:日曜日、隔週月曜日
※スマートカジュアル
➣ 公式WEB
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日本で作る小麦粉、セモリナ粉、ジャガイモ、卵達。日本の山の力を吸い込んだイノシシ。トスカーナを伝える赤ワイン。イタリアの香りを運ぶグラナパダーノ。ムジェッロの人々が食し感じたであろう一皿を日本で伝承していく一皿。
シェフが考えるパスタ未来形
変わるものと変わらないもの
代わる物と代われない物
イタリア、そして、その特定の地域の文化、歴史、味、香りを一皿に集約し表現することが料理。 その料理がなぜその場所、その時代、その調理法で生まれたのかを紐解き、考え、自分の持てる知識と技術で具現化する。 今住んでいる日本の東京でイタリア料理を伝え感じていただくプロセス。日本の食材、空気を厳選し使う。そして、今我々が食す場所で、その料理が一番、イタリアやその地域性を感じさせられる一皿に仕立て伝承していく未来。伝統、今、未来を紡ぐ一皿に。 日本で作る小麦粉、セモリナ粉、ジャガイモ、卵達。日本の山の力を吸い込んだイノシシ。トスカーナを伝える赤ワイン。イタリアの香りを運ぶグラナパダーノ。ムジェッロの人々が食し感じたであろう一皿を日本で伝承していく一皿。 イタリアらしい地元愛と考え方を見つけました。
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昔から世界中で様々な形で生活、食生活の中に溶け込んで来た発酵という技術と文化。今、この時代と未来に向けてクローズアップされています。我々レストラン人が関わることの出来る自然環境、食の生産、食材としての発酵等多々としてあり、それを認識し、周知していくことが大切だと考えます。一つづつ意識をしていくだけで、その分野の広がりが変わっていきます。特に環境問題、食の生産業は今後の地球問題としてとても大きな役割になっていくことです。レストラン人としては、各料理人による個性ある調味料や発酵技術の組み合わせにより多彩な料理のアプローチを可能にします。伝統の中に今の発酵知識や技術を組み込むのは必然の流れであり、その料理の軌跡をふまえつつ新しい扉が開けると思います。ただ、正しい知識や技術を勉強せず気軽にやってしまうと大きな事故につながる要因の一つになると思います。発酵と腐敗は紙一重。その一つの事故で、新たな規制や伝統が失われるのは食に携わる我々みんなで気を付けなければいけない事だと切に思います。発酵で開かれる多くと扉の向こうにどんな世界、料理があるのかこれからがとても楽しみです。
発酵の可能性に対するシェフの考え
トスカーナの郷土料理のひとつであるこのパスタエファジョッリのポイントは、イタリア産のファジョッリカンネッリ、トスカーナらしいハーブとニンニクの香り、うま味のアシストをしてくれるパンチェッタ、辛めのトスカーナ産Exvオリーブオイル、滑らかな舌触りのピューレスープ、柔らかめに茹でたパスタとの絡み具合だと思います。これらの伝統と美味しさのポイントふまえつつ、リストランテのプリモピアットに昇華させた一皿の提案。うま味をより繊細により濃くし口の中でのボリューム感を上げるために、ファジョッリカンネッリを発酵させ複雑味もプラスさせました。同じファジョッリカンネッリを発酵させプレアに加えることにより、大切な食材からの郷土料理らしさ、別の食材を加えない美学をお皿にのせたいと思いました。トルテッリに詰める形にした理由は、口の中でリピエーノにしたファジョッリのプレアが口の中で弾け、香りとも絡み咀嚼して料理が完成するイメージです。カペレッティの形にはトスカーナ料理として私が一番思い入れがあります。サルヴィアとローズマリーのオーリオ、パンチェッタのクロッカンテ、ファジョッリカンネッリとパスタの一体感ある食感と香りをお愉しみください。
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イタリア料理は郷土料理の上に成り立つ料理。自分のインスピレーションに従って作るにせよその土台にイタリアの土地が無ければ成り立たないのではと。目の前にある日本の食材と技法をイタリアで学んだ料理と技法を紡ぎ、その土地の日本のイタリア料理を確立する。
美味しくお腹を満たすためのパスタ。更にキレイ洗練したお皿に。そしてun po’ di scherzo.
日本の粕漬け文化の代表的な料理の1つ“赤魚の粕漬け”。日本の発酵食を組み込んだ保存食。イタリアでも多くの保存食をルーツに様々な料理が生まれています。その保存食文化とその地の食を一皿に凝縮するイタリアの料理としての一皿を表現しました。そのプロセスと考えは世界中どこでもその場所のお腹を癒してくれる最高のパスタを生み出していくと思います。
赤魚の粕漬けは発酵食の1つで、やはり発酵食のチーズとよく合います。その中でも香りの強いゴルゴンゾーラと合わせました。各々が持つ濃厚な香りとうま味の強さが引き立てあう組み合わせ。その濃さにしっかり乗るジャガイモのリピエーノとトマトを練りこんだ生地で作った魚のラヴィオリ。少し遊び心を入れた日本とイタリアの冬のパスタ。魚料理ですが、赤ワインにも合わせたい料理です。