capi
カピ

イタリア料理の枠組みにとらわれないイノベーティブレストラン


素材の可能性を極限まで突き詰めたオリジナリティが魅力

高校卒業後に宮大工をしていたという小川大喜シェフは、一転してイタリア料理人を志し「ポンテベッキオ」の扉を叩き、山根大輔シェフのもとで8年間腕を磨く。独立後、大阪高槻市に「イル・キアーロ」をオープン。当時は大阪のベッドタウンである高槻に合わせたイタリア料理を作っていた。しかし本当にやりたい料理や食材を使うと価格的にアンバランスだと思い始め、2021年1月に大阪中心部である北新地に移転。店名を「カピ」とあらため、イタリア料理の枠組みにとらわれないイノベーティブレストランとして生まれ変わった。

店内はカウンター8席のみでコース料理一本のみ。昔から美術が好きだったという美意識の高さから生まれるのは素材の可能性を極限まで突き詰め、イタリア的フィルターを通したオリジナリティあふれるイノベーティブな料理だ。一口サイズで登場する数々のアミューズはまず非常に薄くて軽く、「鯵オクラ」は新鮮な鯵とオクラ、ボッタルガを使った美しいタルトレット。「白海老 トマト」はトマトを練り込んだパンをトーストしたブルスケッタで白エビ、ドライトマト、トマトパウダー。「キャビア 野辺地かぶ 剣先イカ」はキャビアと剣先イカのねっとり感にカブのペースト、紫蘇の花、オキザリスがいいアクセントに。なによりも細部にまで小川シェフの美意識が宿っている。「賀茂茄子 サマートリュフ」はコンソメにバター、シェリー、トリュフの味と香りが重層的に重なる芳醇な料理。

ハイライトは「爆裂 魚介」だ。これは小川シェフの代表料理のひとつで、これは濃厚な魚介のスープを取り、炊き上げたリゾットをココットに入れて焼き上げて旨味を凝縮したもの。魚介の風味と旨味が口中で爆発する、という料理だ。小川シェフ自ら取り分けてくれたリゾットに魚介のスープをかけて食べると、豊饒なる海の果実が織りなす極上の味と香りにおもわず恍惚となる。そして「マッシュルーム」という料理は発酵マッシュルームを使ったタリオリーニ。マッシュルームは厚めで歯応えがある、バターとブロードの香りと旨味が際立つ。次から次へと登場する小川シェフの料理に圧倒されっぱなしの2時間あまりだった。

店名「capi」に込められたのは「cima=頂上」と「api=蜜蜂」という2つの意味。蜜蜂は古来より繁栄や神の言葉を伝える使者と考えられており、幸福の象徴であった。店内にはシンボルである3匹の蜜蜂がどこかに隠されているので、それを探すのも来店時の楽しみ。

「ノドグロの米麹漬け 発酵トマトエキス」

米、麹、塩でマリネしたノドグロのローストに乳酸発酵トマトエキスと玉葱のピクルス、山椒を合わせた日本の文化とイタリア料理を融合させた旨味高い料理。

私が考える発酵の可能性とは、フードロス、資源や環境の保護、食品の安全性と栄養価を考慮した、持続可能な技術であると考えます。ただ其だけではなく微生物の手を借りることで飛躍的に旨味が増すのも魅力です。


chef profile

小川 大喜
DAIKI OGAWA

京町堀「ラムレーナ」「ポンテべッキオ」を経て大阪市内のイタリア料理店でシェフを務める。 2012 高槻市にて「イル・キアーロ」を独立開業。 2021 店名を「カピ」に改め、大阪 北新地に移転 。


INFORMATION

大阪府大阪市北区曽根崎新地1-10-2 北新地PLACEビル6階[google MAP🔗]
Tel:050-3138-6188
E-mail:capi.osaka@gmail.com
営業時間: ディナー 18:00~、20:45~ (二部制)土曜日のみ ランチ 12:00~
※いずれも一斉スタート
定休日:日曜日・祝日
公式WEB