AZZURRO
アズーロ

支笏湖ならではの透明感をイタリア料理で表現


北海道の大自然を生かした「北海道ガストロノミー」を標榜する

北海道で最も深い水深363mを誇る支笏湖は、4万年前の火山の噴火によってできたカルデラ湖だ。透明度が非常に高いことでも知られており、その良質な水は昔から千歳の重要な水源として人々の生活を支えてきた。「アズーロ」はその支笏湖畔に立つホテル「LAKESIDE VILLA 翠明閣」のメインダイニングだ。イタリア語で「青」を意味する店名は、支笏湖畔の青き水面「支笏湖ブルー」に敬意を表して名付けられたもの。その「アズーロ」の厨房は2015年から根本明弘シェフが指揮している。2023年ITALIAN WEEK100「ベストシェフ賞」に輝いた札幌「TAKAO」の高尾僚将シェフと長年共に働く、北海道を代表する料理人の一人だ。

根本シェフが標榜するのは「北海道の大自然に佇むこの地から、食を通じて北海道をクリエイションするイタリアン」。高尾シェフが森の料理人ならば、根本シェフは湖畔の料理人か。高尾シェフ同様支笏湖畔の森に入ってはさまざまな野草や木の実を採取し、イタリア料理に昇華させる。支笏湖の上質な水は周辺の森を潤し、ヒメマスを育て、水鳥を育む。根室生まれの根本シェフは支笏湖をはじめ、北海道各地の美しく雄大な自然や豊かな食材と日々対峙。その素晴らしさや可能性を料理を通して支笏湖発の「北海道ガストロノミー」を表現している。

例えば北海道の遅い春を表現する「支笏湖の山菜とプロシュート」はハリギリ、タラノメ、ウド、コシアブラ、行者ニンニクを軽い衣でフリットにしてあり、プロシュートの塩気とのコンビネーションで食べる。「根室産サクラマスのマリネと道産ホワイトアスパラの冷製」に北海道ならではの色彩を感じ「根室産活北寄貝のイン・パデッラと山菜のソテー」には特大サイズの北寄貝に北海道の海の豊穣さを実感する。「根室産大鮃のソテー」は北の海でしかみられないオヒョウを使ってあり、支笏湖産の姫竹、根本シェフ自らが森で採取した木の芽が一服の涼を呼ぶ。食べずに帰れない料理は何かと問われれば「支笏湖産行者にんにくのスパゲッティ」ではないだろうか。行者にんにくとはアイヌの人々がプクサと呼んで珍重した山菜で、ビタミンが豊富なことから山の暮らしには欠かせない必需品でもあった。根本シェフは行者ニンニクのペーストにペコリーノを加え、色鮮やかなジェノヴェーゼ・ソース風に仕上げた。もともとジェノヴェーゼも大航海時代にビタミン不足から脚気に悩んだ船乗り達が携行した栄養豊富な完全食品。一口食べれば力がみなぎってくるような気がするから不思議だ。

「アズーロ」がある「LAKESIDE VILLA 翠明閣」には支笏湖温泉の湯をふんだんに使った「石造り」「檜造り」2種類の貸切露天風呂があるので、美食のあとは温泉も堪能できる。明け方鳥の声で目を覚まし、カーテンを開けると目の前には朝靄が立ち込める幽玄な支笏湖の姿が見える。人工物が一切見えない絶景は日本とは思えないほど。それもまた「アズーロ」の料理同様、特別な思い出となるはずだ。


chef profile

根本 明弘
AKIHIRO NEMOTO

1979年根室生まれ。根室市内のレストランで腕を磨き、2012年に札幌「オッジ oggi」に入店。2013年「ハッソウ ドルチェテリア ホッカイドウ HASSO Dolceteria Hokkaido」のオープンにともない、シェフに就任。2015年6月から「アズーロ azzurro」シェフに就任。



INFORMATION

北海道千歳市支笏湖温泉 LAKESIDE VILLA 翠明閣[google MAP🔗]
Tel:0123-25-2131
営業時間:ディナー 18:00~
定休日:不定休
公式WEB