Alter Ego
アルテレーゴ
ミラノの鬼才、徳吉洋二シェフの東京店
斬新なコンセプトを一皿の中に投影する
神保町にある「アルテレーゴ」はミラノで活躍する徳吉洋二シェフの東京店。店名はラテン語で「もうひとつの自我」を意味するが、これはミラノ同様東京にも徳吉が常にいるように、というコンセプトが込められたものだ。
徳吉氏は「オステリア・フランチェスカーナ」シェフのマッシモ・ボットゥーラ氏の右腕として長く共に働き、その才能は現地イタリアでも高く評価されている。古い日本建築を改装した一軒家レストランの一階カウンターで腕を振うのは平山秀仁シェフ。徳吉氏の斬新な料理哲学を尊重しつつも独自のクリエイティビティを発揮する。イタリア的エッセンスがベースにありながらも時にユーモラス、誰も考え付かなかったような独自の料理で目も舌も楽しませてくれる。
平山シェフは2023年度「パスタ未来形」で「FURIKAKEパスタ」を披露してくれたが、これは徳吉シェフの名作「FURIKAKEリゾット」に相通じるコンセプトに基づく料理。イタリアにもシンプルなパスタにパン粉やカラスミをかけて混ぜながら食べる文化がある。日本にも白飯にふりかけをかけて食べる文化があるが、どちらかというと手軽で質素な食事と思われがち。ともにいわゆるクチーナ・ポーヴェラ=簡素な料理なのだが、イタリア料理の根幹はそこにある。「粗にして野だが卑ではない」という城山三郎の名著があるが、クチーナ・ポーヴェラとは「粗にして簡だが卑ではない」という誇り高き料理なのである。
平山シェフが考えるクチーナ・ポーヴェラ「FURIKAKE」とは普段の仕事の中で出てくる端材や流通しない不揃いな野菜や魚を乾燥させたり、パウダーにして「アルテレーゴ」特性のふりかけを考案。その時手元にある食材で作れるので自由度が高い上、パスタソースはシンプルなアーリオオーリオではなくバターでもクリームでもいいので再現もしやすい。自由度があり、再現性の高いパスタこそが未来に残るはずだと平山シェフはいう。イタリア料理とは地方料理の集合体であり、日本もその一部と考えるならば日本で生まれたパスタが世界に広まることもありえる。それこそがパスタの未来なのではなかろうか。
chef profile
平山 秀仁
HIDEHITO HIRAYAMA
1986年栃木県出身。東京の調理師学校を卒業後「リストランテ・ヒロ」で経験を積み28歳で渡伊。アルバ郊外の店を経て、オープンから10か月でミシュラン星付き店となった徳吉洋二氏が率いるミラノの「Ristorante TOKUYOSHI」へ。スーシェフとして3年間活躍後、帰国。2019年2月、徳吉氏がオーナーの「Alter Ego」創業時、シェフに就任。
INFORMATION
東京都千代田区神田神保町2-2-32[google MAP🔗]
Tel:03-6380-9390
E-mail:alteregotokyo@gmail.com
営業時間:平日 ディナー 17:00〜24:00 土日祝 ランチ 12:00〜15:00、ディナー 17:00~24:00
定休日:月曜日、第一日曜日
➣ 公式WEB