長崎空港から車に乗り込み、国道251号線を雲仙方面へと南下すること約1時間。雲仙市千々石町の田畑に囲まれて佇む一軒家レストランが「ロカンダ デル カンポ」だ。トスカーナ州の古都シエナで料理を学んだ宇治拓磨シェフは彼の地で望夫人と出会い、2022年3月に望夫人の故郷である千々石町に念願のイタリア料理店を開く。「ロカンダ デル カンポ」とは「畑の中の旅籠」という意味だが文字通り周囲を畑に囲まれたその景観はイタリアの田舎にあるレストランのよう。シエナでよく見かけるような赤茶色の建物は周囲の環境に優しく馴染んでいる。コロナの影響で「ロカンダ デル カンポ」の開業は2年遅れたが、その間宇治夫妻は地元の農家とのつながりを深め在来種の野菜や島原半島で獲れるジビエ、小浜で水揚げされる魚介類など、地元食材の探求に時間を費やしたのだ。