Ristorante Narvalo
リストランテ ナーヴァロ

長野発、和食技術を加味した創作料理


老舗料亭の技術をイタリア料理に投影

2023年のITALIAN WEEK 100には日本全国北海道から沖縄まで、その地方を代表するTOPイタリア料理店に参加いただいたが、ひとつの驚きとなったのが「リストランテ ナーヴァロ」だ。長野市中心部にある「リストランテ ナーヴァロ」はイタリア料理に和のエッセンスを加えた独創的な料理を出すレストラン。本郷善貴オーナーシェフは東京の老舗料亭で修行し和食の技術を習得。その経験から伝統的なイタリア料理に和食の技術を応用し、オリジナリティあふれる独創的な料理を考案、提供する。

その代表例が2023年度「パスタ未来形」投票で最後の最後まで最上位を争った「シリウス」だ。これはすっぽんのスープで炊いた米粒型のパスタ「リゾーニ」で、「未来へ光が届くように」と広大な宇宙から青白い輝きを見せる恒星「シリウス」をイメージ。 水で覆われた星から日本で食すすっぽんを連想し、テーマにあわせて皿も特注するという熱量の高さ。上田市のすっぽんを甲羅や肉ごと煮込み、リゾーニにたっぷりとそのエキスを吸わせるとゼラチン質をまとったその濃厚な味わいにしばし恍惚となる。既成概念を打ち破った非常に斬新な未来形パスタだった。

コース形式で登場する他の料理も「シリウス」に負けず劣らず個性的だ。「卵 黒あわび茸」は発酵させた卵に出汁を加えて蒸した、パンナコッタを連想させる和食とイタリア料理の融合形。「鰹」は昆布をテーマにした料理で宮城のカツオを昆布締めし、昆布エキス、ホワイトバルサミコ、1ケ月発酵させた赤玉ねぎ、ケッパーとオリーブ、ディルと撫子の花とともに味わう。これにはあえて提供温度を上げたシャブリを合わせるのも、つねに独創的な本郷シェフならでは。

「フォワグラ ルバーブ」も「シリウス」と並ぶ代表料理のひとつ。苔玉をイメージしたという、トリュフチョコのような一口サイズの球体の中にはフォワグラとルバーブ、周囲をスーパーフードであるカカオニブで覆ってある。フォワグラの脂とルバーブの酸味、カカオニブの苦味は甘さと塩味が渾然一体となった、例え小さくても複雑な味わいの料理。外見からは何が出てくるか想像がつかない、そんな奥行きとサプライズを内に秘めた「リストランテ ナーヴァロ」そのもののような料理だ。

「Spazio vuoto 空白」

「空白」という名付けは、発酵のプロセスそのものを象徴しています。発酵は目に見えない微生物の働きによって、食材に新たな命を吹き込み、深みのある風味と旨味が生まれます。それは何も存在しないように感じる「空白」に奥深い物語や体験を詰めました。信州を代表する野沢菜は、その中で越冬野沢菜を選び、昨年の11月に収穫されてから約1年もの間、静かに発酵を続けてきました。この発酵によって、野沢菜は深い旨味を風味を持つ出汁へと変化させ、卵の白身とともに蒸し上げられます。さらに、黒アワビ茸も発酵させ、その出汁を加えることで、料理全体に重厚な旨味と風味を与えています。

長野は海から離れた土地で、昔は鮮魚をすぐに手に入れることが難しかったため、発酵による保存食が重要な役割を果たしていました。海産物ではなく、地元の食材から出汁をとることで、土地の知恵と文化を再現し、発酵が持つ奥深い価値を伝えたいという想いを馳せました。未完の美を持ち、すべてを完成させるのではなく、視覚的視点の空白を残すことで、食べ手に想像の余地を与えたり、感覚を感じ取ってもらえたら。このように、発酵のプロセスやその象徴的な意味合いを強調しつつ、「発酵の可能性」というテーマに取り組みました。


chef profile

本郷 善貴
YOSHIKI HONGO

1994年生まれ。東京の日本料理店にて修行後、2019地元に「リストランテ ナーヴァロ」をオープン。料理を通じて「笑顔を生むこと」「人に喜んでもらえること」に幸せを感じながら、より良いお店づくりに邁進している。


INFORMATION

長野県長野市大字鶴賀緑町1716-5 ファーストビル2F[google MAP🔗]
Tel:026-217-2332
E-mail:info@narvalo2019.com
営業時間:ランチ12:00〜15:00 ディナー17:30〜22:00
定休日:不定休
※5人以上貸切、8名様まで
※セミフォーマル
公式WEB