ristorante NAKAMOTO
リストランテ ナカモト

自然の力や季節の移ろいを表現する京都郊外の小さなリストランテ


生まれ故郷に戻り、地元食材の素晴らしさを再発見

京都府と奈良県の境に位置する木津川市にある一軒家のイタリア料理店、それが「リストランテ ナカモト」だ。オーナーシェフの仲本章宏氏はNYやイタリア、南青山で経験を積み、イタリアではフィレンツェの名店「エノテカ ピンキオーリ」で腕を磨いた。生まれ故郷に開いた同店では、地元木津川の旬の食材を使ったオリジナリティあふれるイタリア料理が堪能できる。コースはおまかせ一本のみ。イタリアでは地方にこそ名店が多く、多くのレストランが地元食材のみを使う「キロメトロ・ゼロ」を標榜しているが、仲本シェフもその料理哲学を踏襲。美食を求めて車で1時間かけても遠方へと出かける、そんなイタリアにおけるライフスタイルそのものを体験できるのが「リストランテ ナカモト」だ。

「始まり」と題された最初のアミューズは橘のムースとラルドとパルミジャーノのブリオッシュ。「スナック」はミラノサラミ、とても軽いパルミジャーノのムース、トマトのミニトルタと、パルマの生ハムとニョッコフリット、シャインマスカット。生地は軽く、生ハムとシャインマスカットの組み合わせは生ハム&メロンに通じる軽快さ。「季節の野菜の一皿」は、さりげない料理名ながら仲本シェフの食材への想いが伝わってくる。トマトやズッキーニ、あるいは根菜などをグリルやマリネにし、ヴィネガーをきかせた透明なシートと土に見立てたパウダー。木津川のせせらぎと畑の土が想像できるような野菜料理だ。「伝助穴子、ストラッチャテッラ、ゆず」は長崎産の伝助穴子に自家製のカラスミとゆずをまぶし、その下にはナスとクリーミーなストラッチャテッラ・チーズが敷かれていた。

「ビワマス、赤玉ねぎ、万願寺とうがらし」はビワマスを低温調理し、ネギ油とじゃがいものピューレのソース。「バヴェッテ」とはやや幅広の細麺のことだが仲本シェフはこれにジロール茸、空芯菜、冬瓜のピューレを合わせ仕上げには極薄のジャガイモのチップス。一口サイズの中にもさまざまな食材の味と食感がモザイク状に散りばめられていた。もうひとつのパスタ料理「アニョロッティ」は自家製のリコッタとマスカルポーネを詰め物にし、カボチャのスプーマとトマト風味のパン粉、燻製フォワグラのすりおろしのトッピング。甘さとチーズのコク、そしてフォワグラの風味が渾然一体となった奥深い味わい。これらのパスタは仲本シェフ自らが直前に打った手打ち。厨房に近い席ならばその光景がよく見えることだろう。そしてメインは「笠置から届く、夏鹿」、これは熟成させた夏鹿を低温調理してから薪火で炙り、同じく薪で調理した茄子、茄子と唐辛子のペーストのアクセント。

ちなみに「リストランテ ナカモト」ではワインはもちろんのことオリジナルのノンアルコールペアリングも秀逸。「ほうじ茶、バラ、クランベリー」「八女の和紅茶、マンゴー、パイナップル」「かぶせ茶、バニラ」など、特に「ほうじ茶、ブラックペッパー、いちじく」は赤ワイン風に仕立ててあり、エトナ山のネレッロ・カプッチョを思わせるようなスパイシーさで、こちらも一度お試しあれ。


chef profile

仲本 章宏
AKIHIRO NAKAMOTO


INFORMATION

京都府木津川市木津南垣外122-1[google MAP🔗]
Tel:050-3134-3550
E-mail:info@ristorantenakamoto.jp
営業時間:ランチ 12:00~ ディナー 18:00~
定休日:水曜日
公式WEB