Ristorante Martello
リストランテ マルテッロ

福島ならでは、控えめだが心は熱いイタリアン


炭火でじっくり火を通す心も体も温まる料理

よくイタリア人と日本人の料理人として共通点は何か?という話になるが、その答えは大抵「職人気質だ」という点に落ち着く。自分が好きなことに対する執着心にも似たこだわりと完璧さを追求するある種の完全主義者気質。福島県郡山市にある「リストランテ マルテッロ」もそんな一軒だ。「マルテッロ」とはイタリア語で「金槌」を意味するがそれは職人のシンボル。職人が金槌をふりおろすように、料理一皿一皿を丁寧につくりあげていく、そんな決意が店名に込められているのだ。

「リストランテ マルテッロ」郡山市中心部からやや離れた幹線道路沿いにある一軒家レストランなのだが、店内に一歩足を踏み入れると実に都会的で洗練された空間が広がっている。高い吹き抜けの天井からは自然光が優しく降り注ぎ、少人数用のテーブル席もあるが店の中心は巨大なソーシャルテーブル。オープンキッチンの正面で村上悟シェフが調理する姿がよく見える特等席だ。

福島県出身の村上シェフは専門学校卒業後フランス料理店で働くことを選んだが、その後ホテルやイタリア料理店で働く機会を得ると、徐々にイタリア料理に開眼。いつかは自分の店を持ちたいと願うようになる。2010年に夫婦二人で始めた「リストランテ マルテッロ」は20席しかなくても自分達には広い店だった、と村上シェフ。自分は有名星付きレストランを経験したわけでも、イタリアで修行したわけでもない、というがその謙虚な姿勢の中にも「金槌」という店名を選んだ職人的な信念が垣間見える。

「リストランテ マルテッロ」の料理の中でも、旬の生ウニを使ったフェデリーニは、甘くて濃厚なウニが忘れ難い。「ヒラメのカツレツ」はイタリア式に目の細かいパン粉でしっかりと揚げてあり、仕上げに焦がしバターソース。バターの香りが心地よく、トマト、パセリ、ケイパーのケッカ風ソースでさっぱりと食べる。そしてメインの福島和牛雌牛のランプ肉もまた、イタリアで食べるタリアータを思わせる極上の炭火焼き。コースが始まった直後から村上シェフが炭火につきっきりで焼き、仕上げにやや辛めのオリーブオイルが肉によくあう。料理は人柄だと常々思うが、穏やかな村上シェフの人柄を反映した、心安らぐ料理の数々。そうした人柄は、やはり店全体に伝わるのか「リストランテ マルテッロ」では昼からワイングラスを傾けるゲストが多く、各自がゆったりと料理を楽しんでいる様子が伝わる。それがまた、居心地の良さにつながるのだ。


chef profile

村上 悟
SATORU MURAKAMI

福島県出身。身近に感じられる「食」というジャンルと、ものづくりへの興味が重なり、料理人を志す。調理師学校を卒業後は、仙台市内のフランス料理店へ就職。その後、ホテルで更に腕を磨く。元々、パスタが好きであったことや、バリエーション豊富なメニューを楽しめること、お客様との距離の近さに魅力を感じイタリア料理へと転向。 2010年4月、オーナーシェフとして「リストランテ マルテッロ」をオープン。


INFORMATION

福島県郡山市富田東1−368[google MAP🔗]
Tel:024-973-8611
E-mail:ristorante.martello@gmail.com
営業時間:
ランチ 11:30~(L.O. 14:00、CLOSE 15:00)
ディナー 平日 18:00~(L.O. 21:00、CLOSE 22:00)
ディナー 土日祝 17:30~(L.O. 21:00、CLOSE 22:00)
定休日:水曜日、他不定休有り
公式WEB