イタリア料理式 ricetta8.7
イタリアリョウリシキ リチェッタハッテンナナ

リベラルな京町家スタイルのイノベーティブ割烹


ricetta8.7らしい、独自のスタイルを追求する

2022年1月京都にOPENしたばかりの「イタリア料理式 ricetta8.7(リチェッタ・ハッテンナナ)」はなかなかユニークな新店だ。オーナーシェフの芳片聡氏は20代の頃から東京でイタリア料理のオーナーシェフとして活躍したのち44歳で京都に移住。「自分の料理哲学【背景・仮説・検証・確認・改善・根拠・解答】を大切に料理を構築すること」を目指した2年後、「イタリア料理式ricetta8.7」オープン。これで自身5度目の開業というからそのバイタリティたるや敬服に値する。

レストランは築100年の京町家を改装したスタイルで、中庭・和室・畳・掘り炬燵カウンターと全て靴を脱いで上がり、大正モダンを感じる小上がりもある。自ら「割烹・小料理屋」と名乗っており、コース形式のメニューも「お昼の会」「夜の会」とネーミングするなど字面だけ追えばイタリア料理店であるとは思わないかもしれないが、そこは長年イタリア料理に携わる芳片シェフのこと、その根底に流れるのは生ハムとブッラータ、手打ちパスタなどあくまでもイタリア料理だ。

「岩手山形村短角牛 トマトとブッラータ とうもろこしと黒トリュフのポタージュ」という一口サイズ3種類のアミューズにはじまり、ふんだんにカラスミを使った魚料理「いさき 生姜 エストラゴン エシャロット カラスミ」へと続く。温かい前菜「原木椎茸 白金豚 発酵キャベツ ムール貝」は驚きのひとこと。肉厚の椎茸に発酵させたキャベツと豚肉で作ったサルシッチャを作り、まるごとフリットに。椎茸から流れ出すスープと一緒に食べるとたまらない。「カジキ アスパラガス 燻製スペック」はカジキの身には50度の低温で火入れ、アスパラガスはスープで炊いてあり、鴨の卵のタルタルは濃厚な味わいが特徴。「スルメイカ コウイカ イカ墨 酒米」は一口サイズで仕上げてくれるイカスミのリゾットで、極小の酒米を使ってある。むせかえるような海の香りとイカ、イカ墨の旨味が込め一粒一粒の中に凝縮されている。

「近江牛のこころ」は近江牛のハツを藁焼きでローストにし、黒オリーブ、アンチョビ、ドライトマトというプッタネスカ風ソースで食べる。ソースの相乗効果もあり、ワイルドで体の奥に眠る野生の血が呼び覚まされるような食べ応え。「鮎 ズッキーニ タリオリーニ」はもまた、ワインを嗜む大人の料理だ。鮎のコンフィと焼きズッキーニで作ったソースと、手打ちパスタのタリオニーニには鮎の卵の塩漬けが練り込んであり、その芳醇な旨味に純米酒が欲しくなる。そして締めは芳片シェフらしいユーモアセンスあふれるチョコレートのデザートは、目の前に運ばれてきたら思わず微笑んでしまうことだろう。野暮なので読み方はあえて書かないが「イタリア料理式 ricetta8.7」のカウンターに座っていることを想像して楽しんでいただきたい。


chef profile

芳片
SATOSHI YOSHIKATA

1975年生まれ、兵庫県川西市出身 幼少の頃から叔父(徳岡孝二)の影響で料理に興味を持つ。1996年、東京に移住 料理を始める28歳で初めて自分の店を目黒区祐天寺に持つが未熟な技術のため6年で閉店。渋谷区円山町に移転するも1年後、東日本大震災の影響で閉店。1年後、新高島平(板橋)で3度目の開業で復帰2年後、高島平(板橋)に移転。日本イタリア料理協会に参加後、改めてイタリア料理を学び直す。42歳の頃に店を譲りフリーに。44歳で京都に移住。自分の料理哲学【背景・仮説・検証・確認・改善・根拠・解答】を大切に料理を構築することを目指す2年後、2022年1月11日に「イタリア料理式 ricetta8.7」をオープン。自身5度目の開業となる。


INFORMATION

京都府京都市中京区亀甲屋町609[google MAP🔗]
Tel:070-8584-6965
E-mail:ricetta8.7@gmail.com
営業時間:ランチ 11:30~14:00 ディナー 17:30~22:00
定休日:不定休
※14席程度の小さなお店ですので、ご予約優先です。
公式WEB