FARSI LARGO!
ファルスィ ラルゴ

「自ら道を切り開く」をいう店名に込められた気高き料理の理想

イタリアの名店で学んだ哲学をさらに前進させた一連の料理

大通り沿いには三越やコレド室町など大型の百貨店や商業施設が並ぶ三越前だが、一歩路地に入れば昔ながらの風情が残り、老舗や専門店が並ぶ一画が残されている。「ファルスィ ラルゴ」もそんな三越前の裏通りにある。店名の意味は「自ら道を切り拓いて進む」というイタリア語であり辻秀永の気高き理想がその言葉に込められている。

実家が蕎麦屋だったという辻シェフは若い頃から料理人の道を志していたが、青年時代はちょうどイタリア料理の興隆期。イタリア料理の道を選んだ辻シェフは大迫秀樹シェフの「アロマ」などで5年間学んだ後イタリアに渡る。最初に選んだのはピエモンテ州「ラ・コンテア」。ピエモンテの名店は秋になるといずれもアルバの白トリュフをスペシャリティとして出すが当時の「ラ・コンテア」といえばスーパークラシックなレストランとして有名で、サービススタッフは白手袋でシルバーノカトラリーやパニエを扱い、うやうやしく丸い蓋=クローシェを開けると素晴らしい香りの白トリュフのパスタが登場する、というプレゼンテーションは一世を風靡し、多くの美食家たちを恍惚とさせた。辻シェフはさらにマッジョーレ湖の小島「イゾラ・ディ・ペスカトーレ」や現在ミシュラン三つ星(当時は二つ星)のグランメゾン「ダ・ヴィットリオ」で研鑽を積む。「ダ・ヴィットリオ」時代はエグゼクティブ・シェフのエンリコ・チェレア通称キッコに鍛えられ、特に魚料理の腕を磨いた。

帰国後は「六本木サドレル」などを経て2010年に現在の場所に「ファルスィ ラルゴ」をOPEN。当初はカジュアルなメニューが中心だったが、徐々に自分がやりたい方向へと料理をシフト。2018年のリニューアル前後からコースメニューを中心にし「すべての皿が分かりやすくイタリアらしい」料理を目指す。「ダ・ヴィットリオ」以来現在も新鮮な魚介類をメニューの柱とするのは変わらず、魚は焼津のサスエ前田魚店、肉は島根和牛と島根ポーク、船橋の石井農園のイタリア野菜を使う。「桜海老のタリオリーニ」は焼津の旬の桜海老とスナップエンドウのソース、肉質が極上の金目鯛には香ばしい焼き茄子と焼きネギのマリネ、蕗のとうのピクルスの酸味が好相性。デザートのスペシャリティは2022年から始めたという「黒トリュフのパンナコッタ」。常にフレッシュな黒トリュフを使うので季節によってイタリア産とオーストラリア産を使い分ける。黒トリュフの余韻が非常に長く、食べ後いつまでも鼻腔に心地よい香りが残る。コースメニューの最後の仕上げのはずなのに、なぜかさらに何か食べたくなる、そんな魅力的なデザートだ。


chef profile

辻 秀永
HIDENAGA TSUJI

1971年東京都生まれ。都内のレストランで5年間勤務後渡伊。「ラ・コンテア」「ベルバーノ」「ダ・ヴィットリオ」で研鑽を積む。帰国後「イルカヴァッロ・ビアンコ」「六本木サドレル」などを経て独立。 2010年11月リストランテ ファルスィラルゴOPEN。2018年6月にリニューアル。



INFORMATION

東京都中央区日本橋本町1-4-3 ヴィラアート日本橋B1[google MAP🔗]
Tel:03-3231-6283
営業時間:ランチ12:00~14:00(土、日、祝日、祝前日〜15:00 )、ディナー 18:00~21:00
定休日:月曜、第3日曜
公式WEB