CONVIVIO
コンヴィヴィオ

トスカーナから北参道へ、新たなる「饗宴」の始まり

 

「カチョ・エ・ペペ」に込められたイタリアへの思い

辻大輔氏がオーナーシェフを務める「コンヴィヴィオ」は住宅とアパレルブランドが混在する北参道にある。1階がキッチン、2階がダイニングスペースとなっているので、通りを歩けばガラス窓越しに料理に打ち込む辻シェフの姿が見えることだろう。京都に生まれた辻シェフは20歳で渡伊、トスカーナやミラノ近郊のパヴィアなどで経験を重ねて2006年に帰国。西口シェフの「ヴォーロ・コズィ」や「ビオディナミコ」を経て新宿「コンヴィヴィオ」シェフに就任。2015年に現在の場所に移転してすでに十年になる。

重厚な木の扉を開けるとオーセンティックかつクラシカル・エレガントなダイニングルームがある。「CONVIVIOでは、イタリアの伝統料理をベースに、新しいエッセンスを加えた驚きのある料理に挑戦して参ります。私のフィルターを通したイタリア料理をぜひお召し上がりいただきたいと思います。」と辻シェフはいう。

ある日のランチはまず8種類のアミューズから始まった。カルフラワーの温かいスープにはじまり、一口サイズのモルタデッラ、冬瓜のカンパリ、パルミジャーノのチップス。続いて芽キャベツのソテー、山椒のクッキーとクリームチーズ、ホタルイカとブラッドオレンジ、黒米のチップスにはキノコのソテーとチーズ、パプリカパウダーと、いずれも非常に軽く、遊び心もあるフィンガーフードの数々。肉厚のサワラは春キャベツ、ブロッコリ、キャベツのピューレで春を寿ぐ。さまざまな酸味とキャベツの甘みが印象的で、肉質が柔らかいサワラとよくあう。もう一品、ユーモアにあふれた料理「コンヴィバーガー」が運ばれてきた。イタリア国旗を立てたミニバーガーは鳥もも肉のフリット、トマト、自家製タルタルソース。これもまた一口サイズの上質なストリートフード。

辻シェフはフードロス対策としておからをよく使うが「コンヴィヴィオ」の代名詞的存在である手打ちパスタ「カチョ・エ・ペペ」にもおからが練り込んである。ペコリーノトスカーノの豊かな香りと旨味、そしてほのかな酸味にたっぷりの黒胡椒。数あるイタリア料理の中でも一、二をあらそう究極的にシンプルなパスタだがそれだけに食材選びは表現方法も含めて奥が深い。なによりもシンプルこそ美味しいというイタリア料理の規範のような料理である。メインは群馬産の豚肉のローストにビーツのリゾット、レンズ豆の組み合わせ。辻シェフはクラシックなイタリア郷土料理を時に軽快に、またある時はユーモアを加えて現代的に仕上げてくれる。メニューは月替わりなので来月は何がオンメニューするのかと、あれこれ想像をめぐらせるのもまた楽しいひととき。


chef profile

辻 大輔
DAISUKE TSUJI

1981年京都府生まれ。2001年 渡伊、シエナの語学学校へ入学。「Ristrante da Antonio」「Antica trattoria La Torre」「Ristrante Locanda Vecchia Pavia」などで5年間経験を積んだのち2006年に帰国。「ヴォーロコズィ」「ビオディナミコ」を経て2012年新宿「コンヴィヴィオ」のシェフに就任。2015年3月 「コンヴィヴィオ」を北参道に移転しリニューアルオープン。



INFORMATION

東京都渋谷区千駄ヶ谷3-17-12 カミムラビル1F[google MAP🔗]
Tel:03-6434-7907
営業時間:ランチ(月〜金)12:00〜14:00(L.O. 12:30)、(土、祝)12:00〜14:00(L.O. 12:00)、ディナー:18:00〜22:00(L.O.19:00)
定休日:日曜、第2月曜
公式WEB